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2018.10.09
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カテゴリ:徒然草を読もう
第二百三十六段
 丹波に出雲といふ所あり。大社(おおやしろ)を移して、めでたく造れり。しだのなにがしとかやしる所なれば、秋の比(ころ)、聖海上人(しょうかいしょうにん)、その外も、人数多(あまた)さそひて、「いざ給へ、出雲拝みに。かいもちひ召させん」とて、具しもて行きたるに、各(おのおの)拝みて、ゆゆしく信おこしたり。御前(おまえ)なる獅子・狛犬(こまいぬ)、背きて、後(うしろ)さまに立ちたりければ、上人いみじく感じて、「あなめでたや。この獅子の立ちやう、いとめづらし。深き故(ゆえ)あらん」と涙ぐみて、「いかに殿原(とのばら)、殊勝の事は御覧じとがめずや。無下(むげ)なり」と言へば、各(おのおの)怪しみて、「誠(まこと)に他(た)にことなりけり。都のつとに語らん」など言ふに、上人なほ床しがりて、おとなしく物知りぬべき顔したる神官(じんがん)を呼びて、「この御社(みやしろ)の獅子の立てられやう、定めて習ひあることに侍らん。ちと承らばや」と言はれければ、「その事に候。さがなき童どもの仕りける、奇怪に候ふことなり」とて、さし寄りて、据ゑなほして往(い)にければ、上人の感涙いたづらになりにけり。

現代風訳
 丹波(京都の亀岡)に出雲という所がある。出雲大社を勧請して分霊を祀った立派な神社だ。しだの某とかいう者の領有する所で、秋のころ、聖海上人や、その外にも人を多く誘って、「さあ、参りましょう。出雲を拝みに。ぼたもち(そばがき?)を御馳走しますよ」といって、連れてだって行き、めいめい拝んで、深く信心を起こした。
 神社の前にある獅子と狛犬が、背中あわせに、後ろ向きに立っていたので、上人はたいそう感心して、「なんと素晴らしいことよ。この獅子の立ち方は、大変珍しい。深いいわれがあるのだろう」と涙ぐんだ。「いかがです皆さん、こんなありがたいことを不思議に思わませんか。いけませんなあ」と言ったので、めいめい不思議がって、「本当に、他と違っている。都のみやげ話に語ろう」など言っていると、上人はさらに由来を知りたがった。年配で物を知っていそうな神官を呼んで、「この神社の獅子の立てられようは、きっといわれがいることに違いございません。少し伺えましょうか」とおっしゃると、「その事でございます。いたずらな子供たちがやったのでございます。けしからんことでございます」といって、近くに寄って、据え直して去って行った。上人の感激の涙は無駄になってしまった。

四つ葉葉四つ葉
「上人の感涙いたづらになりにけり。」
いたずら 形動・文・ナリ
1 存在・動作などが無益であるさま。役に立たないさま。むだ。「徒に時を過ごす」
2 あるべき物がないために物足りないさま。なんの風情もないさま。
「入江の―なる洲 (す) ども」〈更級〉
3 何もすることがないさま。退屈。→悪戯 (いたずら) 
「舟も出ださで―なれば」〈土佐〉

そこはかとなく虚しい感じをさらっと一文で決める兼好法師はやっぱりすごい。





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最終更新日  2018.10.09 07:00:14
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