今年も残すところあと5日。
何とか中学時代の出来事をもう一つ。
息子の中学では毎年、中学生全員が参加するクラス対抗の合唱コンクールがあります。
中学卒業を間近に控え、無事に中学生活の3年間を終えようとする頃、我が家にとっては大事件と呼ぶにふさわしい出来事が起こりました。
以前にも、結果だけは書いたことがあるのですが、息子がこの合唱コンクールのピアノ担当になってしまったのです。
クラスで先生が、合唱コンクールのピアノ担当者を決めるのに、ピアノをやったことがある人手を挙げてと聞いたところ、クラスの半数近くの人が手を挙げたそうです。
そしてその中でピアノを弾いてみたい人と聞くと、10人には満たないがそれに近い数になったようです。
先生はまだこの時点では余裕を持っていたそうです。息子に決まることはなかろうと。
そして、二人ずつでじゃんけんを始めると、あれよあれよと勝ってしまって結局最後に勝ち残ってしまったのでした。
そうです、高機能自閉症児はとても素直で正直なのです。
焦ったのは先生です。
毎日の交換メールまで待ちきれなくて、直接、自宅に電話がありました。
先生いわく、本人に良く聞くとピアノはやったことがが、ずっと習ってはいないとのことで、やはりちょっと不安そうなので、他に現在まで習っている人も何人もいるので無理しないでいいから親とも相談して正式決定すればいいからと話したとのこと。
家では何とか止めさせようと、本人の帰宅を待って、無理しなくていいからねなどとやさしく諭したのですが、本人の中で一度決まってしまったものは、なかなか変更できないのが高機能自閉症の特質でもあるわけで。
実は、先生も私たち親も大騒ぎするのにはちょっとした理由があります。
クラス対抗の合唱コンクールといっても、会場は1500名近くも入る立派なホールを使用します。
そして、合唱コンクールのCDが製作されるのです。
それまで息子は、小学校2年生の時に150名ほど入る小ホールで演奏したことがあるだけ、しかも、それ以来、電子ピアノの前に座って音は出してはいても、ピアノは習ってはいません。
でも、決まってしまったものは仕方がありません。
先生にも本人がやる気になっている旨を伝えると、意外にも、みんなで盛り上げて行きますから大丈夫ですよと。
それからが、我が家は大騒ぎ。
まずは妻が学生の頃使っていたグランドピアノを実家の窓からクレーンで持ち出し、今度はウチの窓を取り払って窓からクレーンで搬入。
クラスで決めた曲、「明日へ」を息子に弾かせながら、妻が演奏が可能なように譜面を書き換えていく。練習しては書き換える。何度か繰り返し、通しで歌えるレベルに仕上げたのでした。
ドキドキの合唱コンクール当日、妻もびっくりの綺麗な音色でしかも1ヶ所も間違うことなく書き換えた譜面どおりに、感情までこもっているかのような演奏を息子はしたのでした。
その日は家で、妻が観客席から撮ったビデオをじいさん、ばあさんと一緒に見ながらみんなで泣きました。
今でも親は時々そのCDを聴いて感動しています。ただのというかおお親ばか。
息子はといえば、疲れるとピアノの前に座り、どこかで聴いたことのある曲をタッチをミスりながらもゆったりと弾いたりしています。
そうそう、妻の報告によると、件のスーパーでは、今日は新しい箱の「味ピカ」みかんが、3箱だけ登場していたそうです。
そして、昨夜、アフィリエイトした「味ピカ」はすでに売り切れたそうです。