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テーマ:徒然日記(23494)
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友人が亡くなりました。
今、勤めている会社に途中入社した時、配属された支店に彼はいました。 当時、彼は入社3年目でいきいきと仕事をしていました。 大学卒業後3年間別の会社につとめた後に今の会社に途中入社した私に同期のように大切にそして気さくに接してくれました。 入社して右も左もわからない新人の私を彼はとてもよく面倒を見てくれたのでした。 随分世話になりました。 親友というとちょっと違うし、先輩でもないし、もちろん同期というわけでもありません。 やはり親しい友人としか言いようがありません。 私が東京に異動になり、そして何年かして彼が会社を辞めて実家の仕事を継いだ後も、一緒に二人で釣りに出かけたりしていました。 彼は私の実家の近くに新居を構えたこともあり私が帰省した際には彼の家に寄ったりしていたのです。 といっても、ここ十数年私は実家には帰っていなかったので、彼の新居には2、3度ほどしか行ってはいないのですが。 彼が東京に出て来た時にはこの間、何度かあっていました。 チヌ(クロダイ)のすごいポイントを見つけたと駆け込んで来たことがありました。 よく聞いてみると、本人は一人で何日間も通っているのに、釣り上げたことはなく、何度かハリスを切られているということでした。 どうして、彼にはそれがクロダイとわかったのでしょう。 それより、彼がどうしてそんな場所を見つけてきたのか、結局、聞けずじまいになってしまいました。 1時間ほど山越えのドライブを要するそのポイントは、外海には面してはいるものの、奥まったところにある石積の防波堤で、夜釣りともなれば地元の人も誰も来ません。 二人で出かけました。1回目、2回目と当たりは何度かあるものの釣果どころか獲物の雰囲気さえ得られず仕舞い。 3回目の釣行だったか、彼が仕事で都合がつかないというので初めて私一人でそこに出かけました。 まあ、こういうときには得てしてこういうことが起こるのでしょうねえ。 夕まずめから、20センチ位のグレ(メジナ)が3枚、4枚と立て続けに釣れました。 日がとっぷり暮れて星が夜空を支配し終わった頃、突然、電気ウキが海中に消えました。 慎重にやりとりして取り込むと30センチ超えのキジハタでした。 かなりの引きで彼が言う50センチクラスのクロダイに間違いないと思ったのですが、この超高級魚にビックリ。 それから、30分もしないうちに今度はゆっくりと電気ウキが海中に入りました。 さっと合わせると引き込まれるような力強い引き。 意外にあっさりと上がってきたのが狙っていたクロダイでした。 家に帰って測ったら48センチありました。 翌日、彼にその報告をすると、うっそだろうを連発しながら、なんだか泣き笑いのようなとても複雑な表情を浮かべた後、よかったなあ、よかったなあと自分のことのように喜んでくれました。 そして、いいポイントだろうと念を押したのでした。 その後も彼と何度かそこを訪れたのはもちろん、私が東京に戻った後も彼はそこに通いました。 しかし、結局、彼はクロダイを釣り上げることはできませんでした。 48センチのチヌ上げたよと告げた時の彼の顔を今でもはっきりと覚えています。 そんな彼が、脳腫瘍に罹りその後一時復帰したこと、そして肺ガンで闘病生活をしていたことなどまったく知りませんでした。 あの時の泣き笑いのような彼の顔が忘れられません。 合掌。ご冥福をお祈りいたします。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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