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2017.02.26
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カテゴリ:生物学

 アフリカのライオンなど、一見猛々しく見える肉食動物も、実は脆弱な存在であることは、去る2月12日付日記:「勇ましく猛々しいが実は弱い肉食動物、その自然誌」で述べた。
 興味深いのは、頂点捕食者の肉食動物も、適応放散という過程で、元は草食動物だった個体群の中から派生進化してきたことだ。肉食動物も、元から肉食動物ではなかった。

☆草食から肉食に移行、オオカミに成る!?
 有胎盤類のいないオーストラリアでは、有袋類の中から肉食の種が進化した。今は絶滅してしまったサイラシン(フクロオオカミ)である(写真)。その姿は、行動は、オオカミそのものである。だが有胎盤類のオオカミとは、系統的に全く異なる。





 このように似たような生態系に系統の異なる動物が類似した形態を備えるように進化することを、収斂進化という。
 かつてはオーストラリア大陸の一部を構成していたタスマニアで、サイラシンの最後の個体が80年前に死に、絶滅してしまった。本土のオーストラリア大陸は、人類が連れてきた家犬(後に野生化)ディンゴ(写真)との生存競争に負け、おそらくずっと早くに3000年前頃には絶滅した。



 過日、NHK総合の『ダーウィンが来た!』でサイラシンの生存情報が報じられているが、オーストラリア本土はもとより、最近まで生き残っていたタスマニア島でも、サイラシン生き残りは疑わしい。極端にポピュレーションを減らして種が存続することはできないからだ。

☆空白のニッチに埋める動物、だが一つのニッチは共有できない
 サイラシンの祖先は、オーストラリアという狭い島大陸に封じ込められ、適応放散の結果、肉食動物へと移行した。
 動物生態学の面白いのは、空白のニッチには必ずそれを埋める動物が進化することだ。逆に、同じニッチを異なる種は共有できない。
 サイラシンの祖先の進化は前者であり、ディンゴに敗れて絶滅したのは後者の例である。
 オーストラリア以外にも、長く孤立した巨大陸塊にマダガスカルがある。ここにも、キツネザルが多様な種に適応放散した。

☆1つの種からたった30グラムの種と100キロもの種に分化
 アフリカ大陸から1億6000万年に分離したマダガスカルに、ここにしかいないキツネザルが100種前後も住んでいる。これら多様の種は、実は6000万年前頃、アフリカ大陸からまだ霊長類のいなかったマダガスカル島に、流木に流されて漂着した小型の祖先ただ1種から適応放散して種分化したものだ。
 その中には、最小の種ではネズミキツネザル(写真下2枚=現生霊長類で最小で、体長10センチ弱、体重は30グラムほどしかない)から、すでに絶滅したが最大では現生ゴリラ並みの体重100キロにも達したメガラダピス(想像図=メガラダピスについては、下記日記を参照)にまで、とんでもなく形態の違う種が分化した。









☆大型ゆえに人類の標的になったメガラダピス
 だが、ここにはもしここに肉食動物がいなければ、キツネザルの中からも肉食キツネザルが進化したかもしれない。しかしここには、マングースの仲間のフォッサ(写真)という肉食動物がいた。
 肉食キツネザルのためのニッチは、マダガスカルにはなかった。



 なおメガラダピスは、つい400年前頃までは生きていたようだ。絶滅に追い込んだのは、2000年前頃に現インドネシアから舟で渡ってきた人間だ。
 キツネザルはすべて樹上性だが、メガラダピスだけは大型過ぎて地上にも降りていたようだ。1度に大量の肉が手に入るメガラダピスは、ヒトにとって絶好の獲物である。

☆大型肉食獣が住めなかったマダガスカル
 筆のままにメガラダピスまで話題は行ってしまったが、マダガスカルにはライオンなど大型肉食獣が住めないことも付記しておく。樹上性のキツネザル類を、獲物にしにくいからだ。ちなみにフォッサは木登りが得意だ。
 大型肉食獣が繁栄できる条件は、限られている。
 だから、とても貴重なのである。

☆以下は、マダガスカルのキツネザルの分化についての過去日記。
・11年2月3日付日記:「アフリカ、マダガスカル島のキツネザルの偶然;進化が生んだ多様化;ジャンル=生態学、進化生物学」
・10年1月30日付日記:「スパコンで解いたマダガスカルの哺乳類固有種の漂流説:原猿類、キツネザル、メガラダピス」

昨年の今日の日記:「エチオピア紀行(19):国際標準にとても達しないトイレ事情、世界最貧国の一断面」








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Last updated  2017.02.26 06:33:49



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