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2017.04.13
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カテゴリ:生物学

 乳児にハチミツを与えてはいけない、というタブーを、昔、雑誌か新聞の記事で読んだことがある。しかしいつの間にか、忘れていた。
 その忘れていたことが現実化した。

◎全国で初の死亡例
 ハチミツを与えられたことが原因で乳児ボツリヌス症で、生後6カ月の足立区の男児が死亡していた。男児の家族が約1カ月間にわたってハチミツが入った離乳食を食べさせていたという。東京都が去る7日、発表した。
 発表した都によると、統計が残る1986年以降、乳児ボツリヌス症による死亡例は全国で初めてのことという。ただ、認知されないままの死亡例は他にもあったはずだ。
 愛児に甘いハチミツ(写真)を離乳食として与えることは、若い親なら誰もがしがちだ。それを知らず、愛児を失ったこの両親には深く同情してやまない。

◎ボツリヌス菌の作り出す毒素トキシンは地上最強の毒
 ボツリヌス菌は、タイプによっても異なるが、自然界の土壌や海底土の中に広く分布する(写真)。昔は、北海道・東北地方で、飯寿司(いずし)を食べ、そこに含まれていたボツリヌス菌が産生する毒素(ボツリヌストキシン)に中毒事故がよく起こった。



 ボツリヌス菌の作り出すボツリヌストキシンは、天然・人工の毒の中で最強の毒物だ。北朝鮮ならず者集団が金正男氏暗殺に使ったVXの約5万倍も強い。たった1グラムで100万人も殺せるほどという。
 ボツリヌス菌は生物兵器、ボツリヌストキシンは化学兵器になり得る。北朝鮮ならず者集団やシリアがボツリヌストキシンを持っているかどうか分からないが、浄水場にでも投入されたら大惨事となる。

◎乳児のみ「芽胞」でも腸内でボツリヌス菌が発育・増殖し、トキシンで中毒に
 話が脱線した。元に戻す。
 今回の事件では、ボツリヌス菌の産生する毒素ボツリヌストキシンそのものによる事故ではない。ハチミツに、ボツリヌス菌が入っていたわけでもない。
 前述のように自然界の土壌などにボツリヌス菌の「芽胞」が普遍的に存在する。芽胞とは、細菌が厳しいストレス環境に置かれると、生き延びるために形成される耐久性のあるタネのようなものだ。
 土壌にあるから、ミツバチが採集してくるハチミツの中にも混入している。
 成人なら、食品と共にボツリヌス菌芽胞を食べても、問題はない。ところが消化器官が未熟で、腸内環境も整っていない状態の1歳未満の乳児では、芽胞でも摂取すると腸内でボツリヌス菌が発育・増殖してしまう。その結果、強力な毒素のボツリヌストキシンで中毒になりえる。

◎40年前、アメリカで認知
 今回の痛ましい事故では、死亡した男児は1月中旬から約1カ月間、ジュースにハチミツを混ぜた離乳食を母親から食べさせられていたという。都の調べでは、1日当たり約10グラムのハチミツを摂取していた可能性がある。
 その結果、中毒となり、2月中旬から体調が悪化。けいれんや呼吸困難を起こし、下旬に救急搬送されたものの、3月末に死亡した。
 乳児ボツリヌス症が知られたのは、ごく新しく、約40年前の1976年、アメリカで最初の乳児症例が報告された。
 日本でも1986年に千葉県での初発例があり、それを受ける形で翌年、厚生省が「1歳未満の乳児に蜂蜜を与えてはならない」と各都道府県に通知した。

◎厚生省通達に基づいて東京都も注意喚起していたが
 東京都でも、同様に「1歳未満の乳児に蜂蜜を与えてはいけない」と注意喚起しているが、この家族は蜂蜜が乳児ボツリヌス症を引き起こすことを知らなかったのである。
 痛ましく、特異な事故だが、自然界には思わぬリスクが潜んでいることを、僕たちはよくよく承知していなければならない。豊洲市場や原発の安全・安心だけを喚き立てている場合ではないのである。

昨年の今日の日記:「北朝鮮の資金源の1つ、在中国の高級朝鮮料理店従業員13人が韓国への集団亡命の驚き」






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Last updated  2017.04.13 04:50:31



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