3461673 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

政治、現代史、進化生物学、人類学・考古学、旅行、映画、メディアなどのブログ

政治、現代史、進化生物学、人類学・考古学、旅行、映画、メディアなどのブログ

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

Profile

自費出版のリブパブリ2010

自費出版のリブパブリ2010

Keyword Search

▼キーワード検索

Freepage List

Rakuten Card

Calendar

Favorite Blog

まだ登録されていません

Comments

farr@ 相互リンク 突然のコメント、失礼いたします。 私は…
くーる31@ 相互リンク 突然のコメント、失礼いたします。 私は…
背番号のないエース0829@ 婿入り 現在井上ひさし「吉里吉里人」を読書中な…
自費出版のリブパブリ2010@ ありがとうございました。 京都ヒストリカ国際映画祭事務局さん …

Headline News

2021.12.15
XML
カテゴリ:人類学
 細やかながら、日々、鍛錬でフィットネスクラブに通っている。
 マシーンに向かって走るのは苦しく、そして冬なのに30分もたつと汗が噴き出す。やがて額を流れる塩分を含んだ汗が眼を襲う。目に入ると痛いので、しばし脚を休めて持参のタオルで、汗を拭う。
 そんな時、フッと考えた。ネアンデルタール人なら、この苦労もないかもしれないな、と。

​◎役割がよく分からない古人類の眼窩上隆起​
​ 4万年前にヨーロッパから忽然と消えたネアンデルタール人は、隆々と発達した眼窩上隆起が第1の特徴だ(写真=フランス、ラ・フェラシー洞窟、5万年前頃)。ただ、これはネアンデルタール人だけではなく、それ以前の初期人類に共通する顔面形質であり、いやもっと広く類人猿にも見られる。



 それが弱々しいものになり、やがて消えたのは、現生人類ホモ・サピエンスからである(写真=最古の中東のホモ・サピエンスの1つ「カフゼーⅨ」、9万年前頃)。このカフゼーⅨは、前述のラ・フェラシーよりも確実に古いのだが、それでも早期ホモ・サピエンスなので、眼窩上隆起は明らかに弱まっている。



 眼窩上隆起の役割は、よく分かっていない。硬い食物を噛むための頭部への衝撃を吸収するためだとか、強い太陽光から眼を守る庇なのだとか、あるいは雌に対する雄としての強靱さを示す性的アピールのためだともされる。
 ただ、額から流れ落ちる汗を眼に入れないバリアにはなっていた、というのが、その時の僕の思いつきだ。

​◎サバンナに出たホモ・エレクトスは汗で困った?​
​ 前述したように眼窩上隆起は、アウストラロピテクスやホモ・エレクトスなどの初期人類にもよく発達していた。いや、類人猿の場合はもっと極端だ(写真=チンパンジー頭蓋模型)。


 基本的な疎林居住者だったアウストラロピテクスはまだしも、二足歩行を確立して熱帯のサバンナに生活の場を求めたホモ・エレクトスは、流れる汗の処置に困っただろう。ちなみにこの頃、類人猿的な体毛を失っていたはずのホモ・エレクトスは、熱帯のサバンナへの適応として汗腺を発達させていた、と考えられる。
 タオルやハンカチなど無い彼らは、汗を拭うこともしなかっただろう。体部については、それでもいいが、額から流れ落ちる汗の処置には困るだろう。塩分を含む汗が眼に入れば、痛いのだから。

​◎狩猟技術の進歩で汗をかかなくなった適応か​
 しかし発達した眼窩上隆起があれば、汗は、顔面両脇から流れ落ちて眼には入らない。
 寒冷なヨーロッパに進出したネアンデルタール人も、その骨にたくさん残されている骨折痕から、大型動物の狩猟に身を挺していたことが想定されている。寒冷地でも、どくどくと汗を流したに違いない。
 しかしホモ・サピエンスは、投げ槍などの洗練された狩猟具を開発した。狩猟でも、ネアンデルタール人ほどには汗をかかなくなったかもしれない。
 眼窩上隆起が弱々しくなり、やがて消失したのは、そんな適応ではないか、と僕はふと思ったのである。むろん火をフル活用して、食物を調理し、より軟らかい食物を食べられるようになったのも、眼窩上隆起の退縮化を促進したに違いない。

昨年の今日の日記:「長崎・五島、世界遺産の旅④:漁師食堂で朝からキビナゴの刺身、美味くてご飯をお代わりしてしまう」https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/202012150000/​





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2021.12.15 05:25:40



© Rakuten Group, Inc.