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2023.08.27
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カテゴリ:古生物学、進化


 地球史上最大の動物の可能性の高い原始巨大クジラが、このほどイギリスの科学誌『ネイチャー』で発表された。
 ドイツやイタリアの古生物学の研究チームが発表した新種巨大クジラは、ペルーの南海岸の砂漠で発見された。「ペルーの巨大なクジラ」を意味する「ペルセトェス・コロッサス」と命名された。

​◎シロナガスクジラよりも大きく、恐竜アルゼンチノサウルスより桁違いの大きさ​
 これまで地球史上最大の動物は、現生のシロナガスクジラだとされているが、記録に残るシロナガスクジラの最大個体は、体長33.5メートル、体重約190トンだった。
​ 一方、新発見の巨大クジラ「ペルセトゥス・コロッサス」(想像図)は、体長約20メートルと長さは短いが、体重は最大340トンにのぼると推定されている。想像図で見るとおり、ずんぐりした体型だ。



 ちなみにシロナガスクジラも新発見のペルセトェス・コロッサスも海棲だけに、地上性の恐竜よりはるかに巨大だ。今年5月に約9500万年前にアルゼンチンで生きていたアルゼンチノサウルスが最も体重が重い恐竜だと発表されたばかりだが、アルゼンチノサウルスの推定体重は約76トンだ。陸棲では、地球の重力をもろに受けるために、体重を増やすのに限界がある。
 ペルセトェス・コロッサスは、約3800~4000万年前の始新世に生きていた。

​◎あまりに重すぎて泳ぎは不得手だった?​
 ペルセトゥスの骨格の一部がペルー南部海岸の砂漠で初めて見つかったのは、2010年。少しずつ発掘を進め(下の写真の上)、これまで13個の脊椎骨、4本の肋骨、腰骨1個が見つかっている。脊椎骨1つで100キロ超あり、肋骨は長さ1.4メートルにも達する(下の写真の中央と下=中央は肋骨、下は椎骨)。







 頭蓋などは見つかっていない。
 見つかった骨は異様に重く、密度が高くなる「肥大緻密化」を示していた。浮力を得るために厚い脂肪を支えるためだったらしい。ただあまりにも重すぎ、泳ぎは不得手で、海岸近くの浅瀬に生息し、海底の餌を漁っていたと推定される。

​◎なぜこんなに重く進化したのか不可解​
 ペルセトェス・コロッサスのような異形のクジラがなぜ進化したのかは謎だ。骨の巨大さ、重さから、行動も緩慢で、外洋に出ることも制約されたはずだ。捕食者から身を守るにも、大きすぎては逃げるのも困難だ。
 推定されているように、海岸近くの浅瀬に生息していたのであれば、浜辺に乗り上げてしまうリスクもある。浜辺に乗り上げてしまえば、巨大な体重から離岸するのも困難で、すぐ自重で圧迫死してしまう。体重を巨大化させたメリットが分からない。
 実際、これほど巨大化したのに、子孫は残せなかったようで、ほどなく絶滅に追いやられたに違いない。
 ダーウィン流の自然淘汰による進化からは、およそ考えられない。
 進化の気まぐれが、こんなモンスターを生み出したのだろうか。

昨年の今日の日記:「ヨーロッパの猛暑・渇水でライン川の水運困難;ライン川の思い出」https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/202208270000/​






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Last updated  2023.08.27 04:33:08



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