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2023/09/28(木)05:17

ウクライナ侵略の泥沼にはまった「裸の王様」プーチン、旧ソ連圏首脳の誰もが権威の失墜を痛感

 誰もが強さに畏怖し、そのために不満を持っていてもそれを明かさず、平身低頭する。世の中に、よく見られる対人関係だ。 ​◎実は強くないと誰の目にも明らかになった結果は――​ しかし実際に、強くはない、と誰の目にも明らかになったら――。 もちろん誰も言うことを聞かなくなる。テロリスト国家ロシアの独裁者プーチンも、その好例言える。 その端的な例が、22日付日記で記したナゴルノカラバフ戦争でのアゼルバイジャンの一方的開戦と短期の一方的勝利だった(9月22日付日記:「プーチンの権威の完全失墜を見せつけたナゴルノカラバフでのアゼルバイジャンの完勝」https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/202309220000/を参照)。​ 3年前のプーチンの仲介で停戦したナゴルノカラバフ紛争は、優勢なアゼルバイジャンには不満のある停戦であり、アルメニア側には息継ぎとなった。停戦維持監視としてロシア軍も派遣された(写真=プーチンの仲介で国境画定交渉を開始した両国の首脳)。 ​◎ロシアとプーチンのメンツなど全面無視でナゴルノカラバフ侵攻​ ところがウクライナ侵略戦争で、実はロシア軍は全く強くはなく、プーチンも甘い見通しに判断を誤った愚者と、誰の目にも明らかになってしまった。​ その機に乗じ、待ってましたとばかりにアゼルバイジャンは、19日にナゴルノカラバフに攻め込み、たった1日でアルメニア側を降伏させてしまった(写真=ナゴルノカラバフの「首都」ステパナケルトで破壊された住宅)。​ ​ 今、アゼルバイジャンが軍事支配したナゴルノカラバフからアルメニア系住民が大量に脱出しているという(写真=「首都」ステパナケルトから車で避難する人々。24日夜。25日午前5時(日本時間午前10時)時点で、アルメニア政府によると、ナゴルノカラバフから脱出しアルメニアに到着した避難民が2900人超に達し、6500人を越えようとしているという)。 ​ 対ロシア政策に関わる旧ソ連の外交ブレーンは、今回のナゴルノカラバフ戦争前に、こう語っていたという。 ​◎ウクライナで「裸の王様」明らかに​ 「旧ソ連の国々がロシアに従ってきたのは、軍事力が強大だからだ。しかしウクライナ侵略戦争で、ロシア軍は実は強くないと分かってしまった。ロシアは『裸の王様』だと我々は感じている」 アゼルバイジャンは、まさにそう考えたから、プーチンの激怒を無視してナゴルノカラバフに攻め込んだ。​ それは、プーチンのロシア国内の側近も同様だろう。その表れの一端が、6月のワグネル、プリゴジンの反乱だった。反乱は抑え込んだが、さらに側近の反乱の誘発を防ぐべく2カ月後にプリゴジンを暗殺するなど(写真=墜落するプリゴジンの乗ったプライベートジェット機)、綻びは覆い隠しようもない(8月25日付日記:「ワグネルのプリゴジン暗殺:モスクワ北西で墜落の自家用ジェット機にプリゴジンが搭乗、ワグネルもSNSで『死亡』伝える」https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/202308250000/を参照)。​ ​◎アフガンの教訓に学ばない愚​ プーチンとテロリスト国家ロシアの弱さは、今月13日の北朝鮮ならず者集団の金正恩をロシア極東のヴォストーチヌイ宇宙基地に迎えた時もあからさまになった。これまで外国首脳と会談する時は、いつも相手を長時間待たしていた遅刻の札付きのプーチンが、はるかに格下のはずの北朝鮮ならず者集団の金正恩を同基地で待ち受けたのだ。 今、プーチンは内心ではウクライナ征服がもはや叶わないと諦めているはずだ。しかしメンツから、ウクライナから撤退できない。この間に、多くの自国の将兵が戦死し、富も砲弾やミサイル、将兵の糧食などの形で浪費している。 これは、かつて旧ソ連が国力を磨り減らしたアフガニスタン侵攻戦争と同じだ。1979年にソ連はアフガニスタンに10万の兵で侵攻した。しかしアフガンのムジャヒディンを制圧できず、約1万5000人もの戦死者を出して、10年後に敗北して撤退する。この国力の磨り減らしが、91年12月のソ連解体につながった。 ​◎旧ソ連崩壊の轍を踏むのは明らか​ 歴史は、繰り返す。アフガンのような10年はかからず、あと1、2年でロシアはウクライナから叩き出されるだろう。その時、国力の衰退したロシアは、旧ソ連のように解体せざるを得ない。 このままではじり貧になることが明らかなのに、ウクライナ侵略戦争を止められないプーチンに、側近は現代史を教えられないのだろうか。​ 昨年の今日の日記:「ロシア国内で予備役動員令の抗議活動広がる」https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/202209280000/​

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