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カテゴリ:気象・気候
国の特別天然記念物で阿寒湖(北海道釧路市)に群生するマリモが、温暖化による湖水温上昇の影響で35年前と比べて1センチほど表層の厚みが減り、痩せている可能性がある、と神戸大学や釧路市教育委員会などの研究グループが明らかにした。 医療用MRI(磁気共鳴画像装置)でマリモの内部構造を計測し、解析した。 ◎成長するにつれ内部が空洞化し、大きくなる マリモは淡水性の緑藻類で、糸状の細い藻が集まり丸くなる(写真)。水面の波の影響で回転しながら表層で光合成をして球体に成長。マリモの内部では光合成ができないため、成長が進むにつれ養分が分解されて中央に空洞ができる(図)。巨大なマリモは空洞も大きく、球体の表層の厚みは最大4~5センチ、直径は20センチを超える。 神戸大学の中山恵介教授(水環境工学)らはまず、阿寒湖で育った直径3センチから22センチまでの大きさが異なるマリモ10個をMRIで撮影し、直径と球体表層の厚みや成長速度との関係を調べた。その結果、実際に直径が大きいほど球体の表層は厚く、マリモにある年輪の幅から算出した成長速度も大きなものほど速かった。中山教授によると、「大きなマリモは空洞も大きくなることで比較的転がりやすくなり、効率的に光合成ができて成長が速いと予想している」という。 ◎温暖化で湖水温が上昇している 中山教授らは算出した成長速度、分解速度と過去の水温データから近年の巨大マリモの球体表層の厚みの変化を試算した。7月~9月の夏場の平均水温が18℃だった1988年は約4.7センチだった一方、夏場の平均水温が20.9℃に上昇していた2021年は約3.7センチとなった。中山教授によると「温暖化で水温が上がり、巨大マリモの厚みが概ね35年かけて1センチほど減少している可能性がある」という。 阿寒湖の冬場の水温は現在も約4℃で昔と変わらないものの、温暖化の影響は夏に現れており、最高水温は1988年が8月8日の23.1℃だったが、2021年は8月7日に27.6℃を観測した。 ◎冷たい水を供給する川から生息地が離れて 中山教授らは、マリモの生息地に冷たい水を供給する河川が近年は生息地から少しずつ遠くなり、河川水が直接生息地に流れ込まなくなりつつあることを見出しており、地元の人々とスコップで水を流す道をつけるなど、人力でできる程度で自然に手を加えることでマリモの維持や管理ができるようにしたい、としている。 研究グループは神戸大学、釧路市教育委員会、北見工業大学で構成。成果はイギリスの学術誌『サイエンティフィックリポーツ』に10月6日に掲載された。 昨年の今日の日記:「南ア大統領ラマポーザの裏金疑惑で失脚危機、大統領2代続けての汚職疑惑で故マンデラ元大統領は泣いている」https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/202212080000/ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2023.12.08 05:08:56
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