|
カテゴリ:経済
かつての昇竜の面影がすっかり失せ、今やいつ経済破綻かが観測されるまでになったスターリニスト中国に代わって、ライジング・サンの勢いにあるのがインドだ。 ◎スラム住まいの一方で急増する富裕層 8%を超えるGDP成長率で、富裕層も急増しているようだ(写真=富裕層の結婚式の披露パーティー)。 ただし貧富の差は極端で、水も電気もトイレも無いスラムに暮らす貧困層が多数いる一方、個人資産が10億ドル(約1500億円)を超す超富裕層も186人いる(アメリカの経済誌「フォーブス」による)という。 しかし上のグラフで示したように、個人資産が100万ドル以上の富裕層も約75万人、それ以上の超富裕層も含めると、80数万人となる。ちなみに2021年の日本の純金融資産が1億円以上・5億円未満の富裕層は139.5万世帯という(野村総合研究所推定=下の図)。 近く総選挙を迎えるインドだが、現与党の人民党に支えられるモディ政権は、経済成長の実績で政権継続の見通しで、インドの成長は今後も変わらないと思われる。 ◎社会主義政権下の貧困を乗り越え かつての国民会議派のガンジー政権では、社会主義的政策がとられて、経済は低迷した。貧困層を重視するはずの社会主義的政策は、貧困を全く無くせず、そればかりか富裕層を等閑視して経済成長を阻害した。ただし財閥や藩王は温存された。 今インドは、モディ政権のもとで遅れた工業化を推進し、世界でも珍しい超人口大国なのになお人口が増加しているメリットを活かし、さらなる成長にばく進する。 超富裕層の集まるインドの商業都市のムンバイでは来年、新しい国際空港が開港する予定だが、駐機スペースの2割はプライベートジェット専用という。プライベートジェットに乗るのは富裕層上位と超富裕層だろうから、それだけこの層の厚みが増しているといえる。 ◎高額紙幣が突然廃止 ただモディ政権も、これ以上の貧富の格差は好ましく思っていないようで、例えば2016年の1000ルピー(約1150円)、500ルピーの高額紙幣の突然の廃止に続き、昨年5月には16年に導入されたばかりの2000ルピー紙幣も流通停止にし、新たな発行もやめている(写真=流通停止になり、今は使えない2000ルピー紙幣)。 ブラックマネーのあぶり出しが目的で、富裕層の所得を把握しようとしているようだ。市民はどうしているのかと思ったら、露店ですらクレジットカード決済が可能になっていて、混乱はしていないようだ。 ◎富裕層の約1%が国外流出 ただ取引にすべて銀行を通すと、収入と支出はほぼガラス張りになり、税務当局が資産を把握しやすくなる。 それを懸念してか、インドから富裕層が流出している。スターリニスト中国と違うのは、行く先はドバイやロンドン、シンガポール、という。2022年には、約1%の7500人の富裕層が海外移住した。仮に1人当たり300万ドル(約4.5億円)が持ち出されたとしても、225億ドルの国外流出になる。 これ以上の流出を抑制する一方、IT起業家などを増やし、さらに全体が富んでいくことが必要だ。 昨年の今日の日記:「テロリスト国家ロシア、ウクライナ侵略開始1年にして、悲惨な内情」https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/202302220000/ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2024.03.22 03:13:05
[経済] カテゴリの最新記事
|