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2024.09.15
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カテゴリ:生物学


 蚊ほど人に嫌われている昆虫はいないだろう。実際、知り合いの女性もこう言っていた。「蚊なんて、どうして神様は作ったのかね。あんなの何の役にたってるの?」

​◎マラリア、黄熱病、デング熱、さらには西ナイル熱など​
​ 生物学を多少は知っているつもりの僕も、それには答えられなかった(写真=水面に立つ孵化したばかりの蚊)。


 蚊が人に役立っているはずはない。それどころか、有害だ。実際、WHO(世界保健機関)によると、蚊は毎年世界中で70万人近い死者を作りだしている。マラリアが蚊による死者のトップで約60万8000人(=世界のマラリア流行地域)、それから1桁減るが黄熱病も約3万人、デング熱も約2万1000人などだ。​





 さらにアメリカでは蚊に媒介される西ナイル熱の汚染地域が広がっている。国立アレルギー感染所の元所長が西ナイル熱に感染して入院したし、東部ウマ脳炎ウイルスへの人への感染も確認されたばかりだ。いずれも、蚊が媒介する。
 蚊を根絶できれば、少なくともこうした被害は起こらない。

​◎生態系の中の蚊の地位はまだ不明​
 だが人類は、いまだに蚊を根絶できていない。遺伝子組み換えで作りだした「不妊化蚊」を野外に放ち、蚊を減らすプロジェクトは地域的に成功を納めているようだが(23年10月11日付日記:「人類の敵の蚊、撲滅に光明」https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/202310110000/を参照)、まだ世界的に蚊の撲滅まで遠い。
 科学者が遺伝子組み換え蚊を大々的に放つことに慎重なのは、それによる生態系の影響がまるで推測できないからだ。
 地球上に約3500種もいる蚊が、生態系の食物連鎖のどの位置を占めているのか、よく分かっていない。

​◎一部の蚊の雄は受粉に役立つ​
 確かなことは、成長の段階や雌雄を問わず、蚊はあらゆる種類の動物の食物になっていることだ。たとえば魚、カメ、トンボ、渡り鳥、コウモリなどが蚊を食べている。ただ蚊を根絶すれば、これらの動物を餌不足に陥らせないか、よく分かっていない。
 また、ほとんどの蚊の雄は、花の蜜や汁しか吸わない。動物の吸血をするのは、次世代のための卵に栄養をつけなければいけない雌だけだ(16年8月16日付日記「うっとおしい蚊、なぜメスだけが人を刺すのか? その進化学的な推論」https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/201608160000/、及び16年8月3日付日記:「厄介だけど……ダーウィン進化論で説明できる人を刺す蚊の存在意義、撲滅の試みもはたして」https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/201608030000/を参照)。
 花の蜜を吸う一部の種の蚊の雄は、作物や花の花粉の主な媒介者となっている。ランの花もその1つだ。蚊を撲滅すれば、そうした植物が困ることになる。
 蚊を根絶するための殺虫剤の大規模散布は、生態系に大きな影響を与えるので現実的でない。DDTのような殺虫剤を使えば、他の昆虫も死なせ、残留性によって哺乳類や鳥類にも問題になる。

​◎人を刺さないオオカなども​
 ここで忘れてはならないのは、すべての蚊が人に被害をもたらすわけではない点だ。実際、人間には見向きもしない蚊も多い。
 湿地に棲み、カエルなどの両生類の血しか吸わない蚊もいる。ある昆虫学者は、湿地でたくさんの蚊にたかられながら座っていても、全く刺されたことはなかった。その蚊は、人に全く興味がなかったのだ。
​ さらに雌が血を吸わない蚊もいる。オオカの仲間は、ペンシルベニア州で一番大きな蚊だが、人を刺すことはない(写真=アラゲハンゴンソウの花の上で休むオオカの大きな雄)。水中で暮らす幼虫の段階では、他の蚊を捕食しさえしている。これなら益虫だ。


 そう考えると、すべての蚊を根絶するのは難しいし、現実的でもないことが分かる。

昨年の今日の日記:「ロシア・北朝鮮の首脳会談で露わになったロシアのプーチンの苦境と金正恩の悪のり」https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/202309150000/​






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Last updated  2024.09.15 05:45:41



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