|
カテゴリ:現代史
ガザ戦争がレバノンにも拡大する気配だ。 レバノンを実効支配するイスラム原理主義テロリスト「ヒズボラ」の基地や拠点などへのイスラエルの空爆が激しさを増している。23日以降の空爆で、2日間で死者は550人以上に達している(写真)。 ◎司令官のイブラヒム・アキムを空爆で殺害 今のところレバノンまでの軍事侵攻まで至っていないが、17、18日のポケベル、トランシーバーの一斉爆発以来、イスラエル軍の攻撃は激化している。 20日の首都ベイルートへの空爆で、ヒズボラ有力幹部で軍司令官のイブラヒム・アキム(写真=アメリカの指名手配ポスターのアキム)を初め、複数の中堅幹部を殺害した。イブラヒム・アキムは元イスラム聖戦機構のテロリストで、1983年4月に63人の死者を出した在ベイルートアメリカ大使館爆破と、同年10月にアメリカ人軍人ら241人の死者を出したアメリカ海兵隊兵舎爆破事件に関わった容疑で、アメリカから指名手配されていた。700万ドルの賞金首でもある。 また多数の死者を出した23日の空爆では、レバノン各地の1600カ所が標的になった。 ◎ガザのハマス討伐に一段落でヒズボラ掃討戦に着手 いまだハマスに捕らえられている人質100人余の解放に至っていないが、ガザでのハマス掃討は一段落ついた、というネタニヤフ政権の判断なのだろう。イスラエル民間人が人質として拉致されてからそろそろ1年になる。政権内部には、残された人質はもはや生きていないのではないか、とする見方が出ているのだろう。 半ば死に体のハマスは、もう当分はイスラエルを奇襲攻撃できない。 それなら北部の安全保障に脅威となっているレバノンのヒズボラの掃討にかかろうというのだろうか。 ◎5万の兵員を抱えるヒズボラはハマスよりはるかに手強い 実際、ヒズボラから頻繁にイスラエル領内に撃ち込まれるロケット弾とミサイルから身を守るために、住まいから避難しているイスラエル国民は約5万人もいる。ネタニヤフ政権は、これら避難民が安全に自らの住まいに帰還できるようにする、と言明している。それにはヒズボラのロケット弾、ミサイルを徹底的に破壊することが必要だ。 ただしヒズボラは、ハマスよりもはるかに強力・強大だ。レバノン議会にも議席を持ち。兵力はハマスの10倍近い約5万人を抱える。保有するミサイルやロケット弾は12万~20万発と推定され、精密誘導ミサイルも保有している恐れがあるという(写真=指導者ナスララの演説を聴くヒズボラ戦闘員)。 イスラエルの最終標的は、ヒズボラの創設者の1人で、最高指導者のハサン・ナスララ(写真=テレビで演説するナスララ)だろうが、ナスララを殺害してもヒズボラ壊滅は容易ではない。 イスラエル攻撃は、対テロ戦争の泥沼にはまり込みかねない入口にある。 昨年の今日の日記:「憧れのマチュピチュを訪れインティプンクを登った思い出、あれから11年(後編):インカのチャスキが走ったインカ道を登る」https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/202309260000/ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2024.09.26 05:40:01
|