ベンパ・テンジンを訪ねてクムジュン村へ
トレッキング3日目、どんぐりさんとの約束をはたすべくシェルパ・ベンパ・テンジンに会いにクムジュン村を訪ねた。ホテルエベレストビューのある小高い丘から遥か下に村全体が緑色の屋根に統一されたクムジュン村が広がっていた。背後にはまるでクムジュン村の守護霊のようにタムセルクが天空に屹立している。見事だった。タムセルクは3500m以上の標高差で村を見下ろし、美しいヒマラヤひだをまとっている。 緑色の屋根で統一されたクムジュン村 ベンパ・テンジンさんの自宅ここはとても静かな落ち着いた村でナムチェよりも好む人が多く、植村直己がこの村で越冬したという。植村直己はペンバ・テンジンとゴジュンバ・カンに登り、その家に2ヶ月ほど暮らしてシェルパと同じものを食べ、同じように生活し、毎朝この村をランニングしてトレーニングしたという。標高3,800m、我々にとってはそろそろ高度障害が出そうな高さである。サーダーと一緒にクムジュン村の中に入る。テンジンの家はすぐ見つかった。ネパール語でサーダーがいろいろ話してくれて、テンジンは病気にかかっていてあまり元気ではないらしい。でも何とか二階から下まで降りてきてくれた。小柄な男性だった。挨拶をし握手をした。奥さんが二階から顔を出してくれた。奥さんはとても明るく元気そうで笑顔がはじけていた。 ベンパ・テンジンさん 二階から元気な顔をのぞかせた奥さん過ぎ去った歳月を感じた。植村直己とともに活躍したベンパ・テンジン、その植村はマッキンリーに消え、高山病で苦しんだどんぐりさんをテンジンがケアする、そしていまここに病を得ながらも立っているテンジンをまったく関わりのなかった私が訪ねている・・・。何十年という歳月の流れの中にタムセルクだけが不変の姿で天空にそびえていた。 クムジュン村からのタムセルク