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カテゴリ:登山
12月12日日曜日。失敗の後の長い道のりが始まった。もう12時を過ぎていた。ただひたすら長大な尾根を登った。笹平分岐までは枯葉の積もる道を地道に登る。黒戸尾根のしんどいのは笹平までの変化のない登り一筋の道、更にその上に行っても樹林帯で原生林は素晴らしいものの変化に乏しい。要するに気晴らしするものがないので苦しい登りに向き合っていくことになる。しかしそんなことを言ってる場合ではなく、八丁尾根の急坂を黙々と登った。落ち葉の沢筋の道を避けて尾根道をたどった。一生懸命登っていたが速度は遅い。できるだけ休まずじっくりじっくり登った。笹平の上のほうで突如かなたに甲斐駒ヶ岳が姿を見せる地点がある。枯れ木の向こうに白銀をまとった雄姿が見えた。素晴らしかったがゆっくり見ている時間的余裕もなく前進せざるを得なかった。
![]() ![]() 冬枯れの笹平 甲斐駒ヶ岳の雄姿 やっと刃渡りまでたどり着き、少し先が見えてきた。徐々に空は暗くなり始める。更に登って刀止天狗様まで。休憩なしで更に登ってやっと五合目まで到着した。目の前に漆黒の巨大な山が迫っていた。すでに日没でヘッドランプが必要になっていた。この先、七丈小屋までは鎖と梯子の連続する難所で暗闇の中をヘッデンだけで登るのは初めての経験だった。しかし不安はなかった。何度も登り降りしているルートだし、信頼できるガイドがいる。慎重に一歩一歩階段を昇り、鎖に掴まって標高を上げていった。難所をクリアした後は最後のトラバースに入り、唐突に七丈小屋の明かりが見えてきた。「やったあ!!、着いた」思わず快哉を叫んだ。こうして失敗から始まった黒戸尾根だったがめげずに登り詰めて七丈小屋に到着した。予定時間をオーバーして午後7時頃になっていた。幸いなことに本日の宿泊者は私たち二人だけの貸し切りだった。小屋番のしのぶさんの温かい笑顔が最高のもてなしだった。美味しい夕食を感謝して頂いた。 ![]() お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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