「水戸黄門」では東野英治郎・西村晃に続いて３代目の水戸の御隠居を演じたかと思えば「大岡越前」では亡き源さん（大坂志郎）の後を引き継いだ南町奉行所同心の佐橋孫兵衛（通称は孫さん）では人情味のある親父さん的な役柄を演じていた佐野浅夫が老衰の為亡くなったとの一報を目にした。

５代目の御隠居を演じた里見浩太朗（本名：佐野邦俊）の叔父であり悪役で時折共演していた高野真二とは中学時代の同級生だったという佐野浅夫はホームドラマ等でも頑固おやじではあるが人情味のある親父さん的な存在感があった如何にも昭和の色の濃いい役者であった。

水戸黄門」では歴代の東野英治郎・西村晃とは一味違情に脆く時には涙も流す人情派の御隠居を演じて独自の佐野黄門の色を出していた。大岡越前１３部では里見浩太朗の息子である佐野圭亮とも共演して片瀬堅太郎（佐野圭亮）が医師の心得を持っているのを役立てようと忠相が医師と同心の兼務をさせるという設定でその上司の同心佐橋孫兵衛を演じたのが佐野浅夫であった。

想えば初代の助さんが杉良太郎でデスト陣も多彩で杉・里見の共演もあった初代の東野英治郎㋨時代から、長らく続いた２代目里見浩太朗の助さんと共に歩んだ２代目の西村晃の時代もそれぞれに華やかさがあったが、レギュラー陣の顔ぶれを見ると３代目の助さんが元ジャニーズのあおい輝彦・３代目の格さんが渋い演技の伊吹悟朗・大食いのうっかり八兵衛の高橋元太郎・頼れる存在の風車の弥七の中谷一郎・入浴シーンがスッカリお馴染みの元西野バレー団の由美かおる・元は歌手でマッチョな体の野村将希という具合にフルメンバーが揃った中で３代目の御隠居を演じられたのは幸運だったと思う。

「９０代半ばで老衰やったら年齢的にもやむを得んと思うし人生を全う出来たと思えるからある意味幸せやったんかもな。今回の訃報で佐野浅夫と里見浩太朗・佐野圭亮父子が親戚関係やったと初めて知った人も多いやろうな。」