珈琲はお好きですか?
珈琲には不思議な力が潜んでいて魅惑の扉を開いてくれます。
初めての珈琲との出会いは高校生の頃、今から数十年前になります。
今時とは違って地方の田舎の高校生にとって珈琲はほとんどインスタントが主流でした。
香りや味をを楽しむというよりは眠気覚ましに飲むもの、
受験勉強の合間に飲む飲み物でした。
高校も3年になりもう数ヶ月で卒業というころ喫茶店というものに初めて入ってみました。
今でもなんとか潰れずに営業しているようですが駅前の「オオタ」という喫茶店。
暗い階段を上がった2階にその店はあります。
前々から一度行ってみたいと思っていましたが怖気づいてなかなか入れなかったところです。
学校帰りにドキドキしながら階段を上がり重い扉を開けると珈琲の香りが迎えてくれ一瞬異空間に足を踏み入れたようでした。
当時の校則では喫茶店入店禁止という時代、
もちろんみんな守っていたかといえばそうではなかったようですが
一人で踏み入れるアロマ溢れる異空間では平静を装いながらも高揚した自分がそこにいました。
カウンターの隅に座り注文したのは「ブレンド」、
一番安い珈琲です。
今では恥ずかしい話になりますが当時は「ブレンド」という品種の豆があり、その豆を挽いた珈琲だと本気で思っていました。
それでも初めて豆から挽いて飲んだ珈琲は白い湯気の香りの中に背伸びしたような大人の気分と何か楽しそうな未来を見つけたような気がしました。
それから数十年、今では普通に飲んでいる珈琲ですが、
たまにあの頃の事を思い出し気恥ずかしくなります。
それと同時に何とも言えない淡く切ない気持ちが蘇ります。
その後不思議なことに深く関わり合う人とは何故か珈琲との思い出が多くあります。
香りが記憶に刻み込まれてるせいでしょうか、今でも鮮やかに蘇ります。
いつかまた、その人達との思い出話を書こうかなと思いますので
お時間があれば読んでみてください。