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2004.10.29
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カテゴリ:家族
今朝のウィルソンは、昨日よりもっと辛そうで、大好きだったレバーさえも口を固く閉ざしてしまう。薬も飲ませなくてはいけないので、何とかレバーのなかに薬を混ぜて口の横の歯の隙間から押し込む形で入れた。しかし、それ以上の食事を受け付けない。水も立ち上がって飲む力が無く、横たわる顔の横に持って行ってやっと少し飲んでくれた。

それでもトイレに行くために立ち上がったウィルソンの背中をさすってあげようと手を触れてみて 驚いた。ほんの2日の間に背中の骨が飛び出る形で手に触れる。喉元、前足の付け根あたりを触ってみても、急激に痩せたことがわかる。もしかしたらという不安が急にまた、動揺に変わる。もしかしたら、もしかしたら。夫は出張中で 一日に何度も携帯から電話をかけてウィルソンの様子を聞いてくる。しかし、良い答えを言えないことが辛い。遠くにいるから 実際その様子を確かめられないから、ウィルソンを心から愛している夫の辛い気持ちにさらに追い討ちをかけるようで 私もさらに辛い。

さきほど 一旦立ち上がってトイレに行ったあと、朦朧としたような様子 しばらく半径3メートルくらいの場所を歩いていた。座らなかった。どうしたのだろう。そのとき 確かに尻尾が左右に動いていた。その後その場に座り込み、横たわった。また 立たなくなった。

ウィルソンを子供にプレゼントしてくれたのは実家の母。昨日電話でウィルソンの状態を伝えると、ふと漏らした。「人間の老人介護をしなくて済んでいるあなただけど、こうしてちゃんと 介護してるのよね。」実際 60代半ばで亡くなった義母の看護をすることなく 義母は亡くなってしまい、実家は遠く日本にある。人はこうして誰かを見送らなくてはいけないのだろうか。でも もう少し時間が欲しい。

追記:とうとう トイレに行かせようとゲートを開けたままにしていたら、茂みの中に入り込み、出てこなくなる。水分補給も心配で、意識が朦朧としているようなので、急に不安になり獣医に連絡。手術中なので、今すぐ往診できない状態だったので、連れて行く事になったが、一体どうやって移動させるか。近所の人の息子さんが自宅にいるので、抱きかかえてもらおうと思ってみたが、一応念のため車を傍まで動かしてみた。ドライブが大好きなウィルソンだから、もしかしたら乗ってくれるかもしれない・・・・そうしたら ドアをあけたと同時に立ち上がり ふらふらしながらも車に乗り込んでくれた。車内でも座ったままで外をみて 少しだけ元気に見えた。

獣医に到着し 心拍数をみてもらうと240。白血球値も急激に増加。歯茎をチェックすると、体内に血液が循環していないこともわかる。このままだと いつ心臓が止まっても驚かない状態だと言われる。自宅に連れて帰るか 入院させるか悩んだが、ウィルソンの事を考え、緊急の場合に対処できる入院を選んだ。心拍数が落着いて、抗生物質でインフェクションが抑えられたら 状態が一時的でも安定するかもしれないから、今夜にかけようということに決めた。おかしなもので、3日間殆ど食事を受け付けていなかったのに、「中にはどんな重篤な時でも臭い缶詰のキャットフードなら食べられるっていう犬がいるんだよ。」と言いながら 医師が手に乗せて差し出すと、おいしそうに平らげてくれた。缶に残ったものをそのまま食べさせようとすると嫌がり、手から食べさせてくれとねだったのがウィルソンらしくておかしかった。甘えん坊のウィルソン。つかの間、全員から笑いがこぼれた。

私が部屋を後にした2時間後、ウィルソンはもう振り返ることさえしなかった。ここに来るための移動で、すべての体力を使い果たしたかの様に。ドクターマイケルが奇しくも去り際に言った「お祈りのリストにウィルソンを入れておいてね。」という言葉が胸に突き刺さった。夫が今日深夜に帰宅し、明日一番にみなで少しでも元気になったウィルソンに会いに行けたらそれだけで感謝する。頑張ろうね。





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Last updated  2004.10.29 22:55:33
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