海外仕事術「グローバル人材の次に来るのは…」
「中国は人脈が大事だ」とは良く聞く言葉です。実際に現地で仕事をしてみると痛感します。問題はどんな人脈が自分たちの仕事に適しているのか?を見極めることが大事だと思います。だから、別にひとつの人脈にこだわることなく、色々と付き合ってみる…それに限ると実感しています。この1-2年は、上海のハーレーオーナーズクラブのメンバーと付き合うようになりました。 ビジネスである程度成功すると別荘を買い外車を乗り回すようになり、その先は「趣味こだわりの世界」に入っていくのはどの国でも同じようなもの。上海でハーレーに乗れるのは相当裕福なければ無理です。車体価格も日本の約2倍以上の上に、そもそもナンバーがなかなか取れません。譲ってもらう人がほとんどで、その値段も200万円前後と高額です。だから1台のハーレーを所有するには何だかんだで500万円は必要で、それに改造を加えていけば、パーツも高いのですぐに1,000万円オーバーです。およそ1,000人のメンバーがいると言われている上海ハーレーオーナーズクラブですが、その中心メンバーが約50名ほどいます。ホテルのオーナー、病院の経営者、航空会社の役員、医薬品メーカーの社長、レストランチェーンのオーナー、旅行会社や不動産会社の経営者、古美術商のオーナーなど、実に多彩な職業です。普通に会社をアポを取って訪問していたら、プレゼンに漕ぎ着けるだけでも相当な労力を要しますが、まずは「バイク好き仲間」に入ってしまえば、そこでバンバン紹介が始まります。経営者が多いから、プレゼンの書類も必要なし。後日、秘書に見積を送信しておけばOK…というパターンで仕事の依頼が来るようになりました。私も学生時代からバイクに乗っているので、本当にスムーズに仲間に溶けこむことができました。彼らからすれば、ほぼ同年代の日本人のバイクライフに興味津々で、「高校時代から乗ってた」ことには相当驚いた様子でした。普段は「日本人と中国人」の関係の中でビジネスをしなければならないことがほとんどですが、「バイク」という共通の趣味のお陰で「バイク仲間」となり、会話も「バイクに乗る人、乗らない人」の分類になるわけです。そのせいか私は上海で日本人の知り合いが少ないです(ほんの数名)。もちろんゴルフ仲間もいません。もう完全に上海のおっさん社会にドップリです(笑)。たいていは研修がない日の夜は、ハーレーオーナーの誰かの店に集まっています。夜に会うと荒くれ者風ですが、昼間に会うと、ビジネスマンばかりです(笑)。海外で「社会に溶け込むのは大変」というイメージを持つ人もいますが、自分に合うジャンルを入り口にすればとてもやりやすくなる、という事例の1つだと実感しています。私の場合、現地での主な仕事はサービス業の従業員の研修ですが、この3年間は一度もプレゼンをしたことがありません。また、このクラブメンバーからの紹介で、訪日旅行客のアテンドをしています。富裕層ツアーもしかり。訪日客数もこのクラブメンバーの皆さんからの波及効果で昨年だけで約2,000人が日本に来ました。MICEも彼らが経営する企業の依頼がほとんどです。このように、まともに人脈が噛み合えば歯車がどんどん回る…そんな体験をしています。海外ビジネスというと、何やら「グローバル人材」などと言う単語が流行っていてますが、それ以外にも今までとは違う「ビジネスの入口」を開けることができる「趣味を持っている人材」も大事で、(仕事によっては)その方が大事な時代になっていくのかもしれません。★レジャーサービス研究所のホームページ★