高カリエスリスク症例0.7(糖質と虫歯の関係)前回までに説明したように、虫歯の発症には歯の主成分(HA)が酸性水溶液(H+)中に存在することが必要だった。 それは、HA(Hydoroxyapatite)はH+の伝導物質で水素イオン伝導性セラミックスと呼ばれる通り、HAにとってH+は内部を流れる電流そのものだからだ。 そのH+がHA内部から外部の水溶液中に放出されるときにH+よりイオン化傾向の大きなHA結晶中のCaから電子を奪いH2ガスとなり、CaはCa2+となり水溶液中に溶出する。 こうしてHAの結晶は崩壊していく。これが虫歯の実像だ。 しかしH+の存在だけではHA中をH+は動かない(流れない)。プラスの荷電粒子であるH+を動かすにはHAの内外を問わず何らかの起電力が必須だ。それを電池と言っても良い。 この電池を形成するのにH+の存在は大変都合が良い。なぜそうなのかという話はここではしないが、例えば自動車バッテリーの液は硫酸をいう酸でH+を高濃度に含んでいることからも分かると思う。 だから虫歯の発症にはH+の存在が必須で、さらにH+を動かすための起電力(電池)の形成にもH+は必須だと言っても良い。 この時のH+の濃度は高い方が化学活性も高い。要するにpHが低い方が虫歯にもなりやすいことは経験上も容易に分かると思う。 ここでやっと糖質と虫歯の関係の話に入れる。 糖質は多くの細菌を始め人間に至るまでのエネルギー源になっており、解糖系という生化学反応系で代謝されその過程で各種の有機酸を生成させることが分かっている。
酸だけでは虫歯にはならず、さらに起電力が必要だからだ。 この起電力の発生メカニズムはイオン化傾向の違いによるものの他に酸素濃度差というものがある。 ただ酸を取り除くことは極めて容易で、酸をアルカリで中和すれば良い。
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