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madamkaseのトルコ行進曲

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 marnon1104@ お久し振りです (。≧ω≦)ノ!! kaseさんのお誕生日だったのですね。 お元…
 marnon1104@ Re:トルコでシュウマイはいかがですか?(07/08) kaseさん、こんにちは(*'▽')♪ …
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 madamkase@ Re:渡航記念日(03/16) marnon1104さん、こんにちわ。 3月に書い…
 madamkase@ Re:トルコでシュウマイはいかがですか?(07/08) ひなのさん、おひさしぶりです。 トルコは…

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2009年09月24日
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【9月24日・木曜日】

 長かった夏休みが終わり、今朝は8時過ぎから学校に行く子供達の声が賑やかに聞こえてきた。
 トルコも西欧風に1年2期制で、新年度が9月から始まる。本来なら9月半ばが新学期の始まりなのだが、今年はラマザンの最終週と重なり、バイラムが終わってからということで10日ばかり延長になったのである。

 話は1ヵ月あまり前に遡るが、断食月ラマザンの始まった次の日の8月22日の夕方のことだった。

 外猫達に餌を配り終えた私がアパルトマンの玄関を入ってアサンソール(エレベーター)の前に行くと、地下室への降り口に立って私を待っていたらしいカプジュの妻ゼリハが呼び止めた。
 
 去年の夏の泥棒事件から私とこの女の仲は疎遠になっているが、女は躍起になって私と話をする機会を作ろうとしている。
 だが、やることなすこと、全部正反対だから私は話に応じないのである。


「ジャポン・テーゼ、お前さんよっぽど困ってんのかい。あっちだこっちだへ、私ら親子に金を盗まれたって言いふらしてるけど、いい加減にしておくれ! そんなに困ってんならくれてやる。拾ってとっとと消えうせろ!」

 ゼリハは大声でそう言いながら私の足元に10リラ札5枚を投げ捨てた。
「何をする! こんなものを受け取れるか!」
 なんという無礼者。私はゼリハのしたように彼女の足元にその50リラを投げ返した。

「ゼリハ、自分で盗んでおいて先回りして近所の人に言いふらしたのはあんたじゃないの。それに、あんたはそうやって、盗んでいないと言い張っているけど、少なくともあんたの娘は間違いを認めて謝ったんだよ」
 
 ゼリハが散らばった10リラ札をかき集めながら言った。
「とんでもない! やってもいないのに無理に謝らせられたと言ってるよ」
「そうじゃないでしょ。よし、あの子と直接話をするわ」

 階下に降りると、このごろ、私より身長が高くなり、160センチを越しているという娘が、入り口に仁王立ちになって待ち構えていた。
「シベル、ついこの間、あんたは盗みをしたことを認めて、私に謝ったよね。だから私も赦して2人で抱き合ったのを覚えているでしょ?」

 返ってきた答えは案に相違していた。娘は叫んだ。

「ジャポン・テーゼ、サチマラマーッ(ふざけんじゃないよーっ)!」

「アタシはねえ、たった1回しかあんたの鞄からお金を盗らなかったのに、何で泥棒呼ばわりして、私のおじさんにまでいっぱい盗んだようなことを言ったのよ。誤解したおじさんから電話がきたじゃないの。ジャポン・テーゼ、いい? アタシはねえ、たった1回しか盗ってないのよ。それももうあんたに謝ったんだから泥棒だなんて言われる筋合いないでしょっ」

 
 顔面蒼白でシベルはまくし立てる。まだ14歳にもなっていない女の子が、である。
やっぱりこんな風に反撃してきたか、と私は先日謝罪したとき、シベルの背中を抱きしめてやりながら、ふと後でペロリと赤い舌を出しているのではないかという予感がしたのを思い出した。あっかんべー

 ゼリハがさらに覆い被せるように言った。
「嘘つきはお前だ、ジャポン・テーゼ。泥棒してるのは本当はお前のところにやってくる日本人達なんだ。うちの娘が鞄をかき回しているのを見たという日本人がいたけど、本当はその女がやっているところをシベルが見たんだってよ! 泥棒は全部お前のところに来る日本人なんだよ! こっちには分かってるんだ。そんなことも気がつかないで、お前はヤランジュでイフティラージュでサラックだ!」

 ヤランジュは嘘つき、イフティラージュはありもしない噂を振りまく中傷屋、サラックはぼんやりした間抜け、という意味である。

 笑止千万!

 何を言われても動じないが、ゼリハのこんな一言が私を激怒させた。

「それに見てみな! コンテスは落ちたわ、アントンは死んだわ、もう1匹の落ちた白黒猫もどうせ死ぬだろう。全部お前のやってきた私達に対するいじめ、嘘つき、中傷、盗人呼ばわりが、アッラーを怒らせて、そのバチがお前の猫達に当たっているんだ! 後から後からお前のせいでこんな目に合っている猫が可哀想だと思わないのか! いい加減に悪事はやめてまともな人間になれっ」

 え? どっちの言う台詞だ、それ。

「そうだよ、ジャポン・テーゼ。さあ、お母さんと私はナマズ(お祈り)の時間だからもう帰ってよ」と娘までが頭にスカーフを被りながら言った。

「アッラハッラー!!! あんた達、何のためにお祈りするわけ? これだけ大嘘ついておいて、お祈りだなんて聞いて呆れるよ」
 怒るより、そう言ったあと私は、思わず噴出しそうになってしまった。スカーフを被ってお祈りしたからとて、罪が消えるわけでもないのにネ。

 娘が調子に乗り、憎たらしく私の前に顔を突き出して言った。

「何とでも言いな、マニヤック(きちがい)。私達の頭の上にはアッラー様がいらっしゃるのよ。お祈りしない人間なんかに何が分かるの。さあ、出て行けー」

カプジュの娘 以前はこんなに可愛い子だったのに


 盗人たけだけしい、トルコ語の諺では「Hem suclu hem guclu =ヘム・スチュル・ヘム・グチュル」
 
 母親のほうは無知・無教養、強欲で嘘つきだというのを知ってはいたが、近代教育を受けているはずの娘までこんな風だと、今の今まで気づかなかった私が甘かった。

 でも、これはイスラーム教徒の正しい姿ではない。イスラーム教徒の多くは、たとえ学歴はなくても貧しくても、寛容で気立てのいい人が多いのである。

 悪知恵を絞って「泥棒日本人説、猫の死アッラーの天罰説」を考え出し、近所に触れ回っているゼリハ。
 こんな人間だからこそ断食を1ヵ月守れば一切の罪が消えると信じ込む。だからそれまではやり放題にやって、ラマザン月だけ必死に断食する。この根本的大間違いはどこから生じたものだろう。

 もうこの母娘とは完全に縁を切ったが、彼女達の犯した罪を知るカプジュとその息子は、なにかと私に協力的である。

 それに反し、ゼリハは私の悪口をふれて回ったためにアパルトマンの住民の誰からも相手にされなくなり、娘と来たら、私を見るとこそこそと横道に曲がったり、裏庭でばったり出会うと逃げるように引き返して行く。やましくなければ逃げることもあるまいに。


 



そんないやなことはすっぱり忘れて、テレビを観ましょう。


madamkaseの 

憧れのポストニシン様、NHKの番組に登場!

ファフリさん
アッラーに祈りを捧げるポストニシン

 
「世界遺産への招待状」 トルコ編

 9月28日(月) 午後10時

 NHK総合




madamkaseのトルコ本 犬と三日月 イスタンブールの7年」(新宿書房)









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Last updated  2009年09月25日 19時42分34秒
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