|
カテゴリ:イスタンブールで人と会う
【3月3日・火曜日】 「今度ジハンギルあたりでランチでもしましょうよ」と松川澄子さんに誘われたのは、暮れに日本から帰ってまもなくだった。澄子さんの住まいが建て替えられて、2年半ぶりに元の住所に戻ったと知らせを貰い、和食材料を土産に持って訪問した時である。 新年になっても互いに忙しくてなかなか出会う機会がなく、やっと先週、月曜か火曜日に、と決まり、結局3月3日の桃の節句にジハンギルのホテル・ヴィラ・ズューリヒの入り口にあるレストラン「レイラ」に行った。 昨日まで上天気だったのに、家を出るとき小雨が降り出していたので、私は柄の長いこうもり傘を差し、タクタキ坂を上ってジハンギルに出た。澄子さんと長女のネスリンさんが一足早く店で待っていてくれたのだった。 澄子さん親子はスペイン風朝食と言うのを頼み、私は海鮮スパゲティを頼んだ。すると、澄子さんと私達の飲み物のビールと、ネスリンさんのチャイだけ先に持ってきてしまい、食べ物は何一つ出てこなかった。 澄子さんと私は、仕方なくつまみもなしにビールで乾杯し、料理はそのうち来るだろう、と飲みながら待っていたが、店には二組三組の客がいるだけで、混んでいるわけでもないのに一向につまめるものが来ない。 20分以上真った揚句、ビールも飲み干してしまったので、澄子さんが料理を催促したらやっとパンを2~3個持ってきた。「ビール、お替りいかがですか」とガルソン。ビールをがぶがぶ飲ませる算段で料理が来ないのかな? 昼間からそう飲めるわけでもないから断った。 澄子さんの向こう側の椅子に、どっかりとこの近所のソカク・ケディシ(横丁猫、言わば野良猫)が丸まって眠っていた。 ムックリ頭をもたげた野良猫ちゃん。メス。 催促してやっと出てきたスペイン風朝食と、海鮮スパゲティ ラケルダ(魚のフィレットのオリーブオイル漬け)と蒸し野菜 私の頼んだ海鮮スパゲティにはアサリも入っています。 やっと料理が出てきた。澄子さん達のメインディッシュは、魚のフィレットのオリーブ油漬け、いわゆるラケルダで、このほかにベーコンエッグやサラダがついていて、私も分けて貰った。魚のにおいに気付いて猫がむっくり起き上がった。 澄子さんの手からラケルダを貰ってご機嫌の猫はもっともっとと催促する。 澄子さんも猫が好きで、20年以上も飼っていたミノッシュというメスに死なれてから、もう飼わないと宣言したのに、3年くらい前からアパルトマンに住みついた三毛猫を保護し、建て替えの時は仮住まいの家に連れて行き、今はもう可愛くて手放せないでいる。 ラケルダ美味しい、もっと頂戴と催促する猫。 高価なラケルダをむしゃむしゃと夢中で食べるにゃんこ。 キリがないので与えるのを止めたら、やがてつまらなそうに黙って椅子から降り、別な席に乗り替えてまた眠ってしまった。おとなしい猫である。うちのオグリだったらテーブルに飛び乗ってしまいそうだ。 かねてからの約束だから、ここはいいのよ、と澄子さんがネスリンさんに会計に行かせ、私はご馳走になってしまった。昼食後は、サヴォイ・パスターネシに移動して、チャイを3つ、ケーキを2つ取りよせ、3人で食べても余るくらいの大きさだった。 こちらの方は私が払おうとしたのだが、ネスリンさんが私の手を押さえてお金を出させなかった。いやあ、すっかりご馳走になってしまった。 帰りに筋向いのスーパー、Carrefour Expressジハンギル店に立ち寄り、一緒に今春改装が完成したばかりの店で買い物をした。私もマッシュルームのクリーム・インスタント・スープ5袋入りの箱を買ってきて、夕方飲もうとしたら3袋しか入っていなかった。 この箱には、シールを貼るとか、簡単に開かず開け口にミシン目が入っているとか、抜き取り防止処置が取られていないので、誰かが抜き取ったのか、3個しか入っていなくても、一番手前の箱をすっと手にした私が気付かなかったのだった。 もっとほかの箱の重さとくらべればよかったのだが、まさか足りないとは思わなかったし、嘆いてももう後の祭りである。クレームをつけに行くのも面倒だし、まあ、少し高くついたが、今日は昼をご馳走になっていいことがあったので、いいじゃないか。 澄子さん達も結構な量の買い物をしたので、タクシーを拾って帰宅することになり、私達は店の前で別れたのだった。澄子さん、今日はご馳走様でした。お陰でひな祭りをしていただいた気分です。 アントニーナ・アウグスタ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[イスタンブールで人と会う] カテゴリの最新記事
|