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madamkaseのトルコ行進曲

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2016年09月11日
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【9月11日・日曜日】

 İşkur

 「イシクル」というのは、トルコの労働省傘下の委員会の一つで、労働者の失業対策や不当労働行為対策などを管轄する組織である。

 私の住むチュクルジュマのウルガズ・アパルトマンは、入り口階が2軒の店舗、2階から上は各階2軒ずつの12軒の住宅部分からなっている。うちの娘が1997年に死亡した父親から相続した僅かな遺産で、1998年チュクルジュマで小ぢんまりした今の家を見つけて購入、私はそこにジハンギルの借家の契約期限が終わったあと、1999年8月から犬のビクターと移り住んで17年、犬は草葉の陰、娘が11年前から日本で勤務することになったものの、私はここでずっと暮らしている。

 地下階はかつてボイラー室で、6畳一間くらいのカプジュ(アパルトマンの住民が雇っている用務員)の部屋があったが、イスタンブールには、私が移住する前から十数年がかりのプロジェクトで、ドアル・ガス(天然ガス)が導入され、道と言う道は掘り返されて、降ればドロドロ、乾けば黄塵の舞う恐ろしい光景の日々が10年以上も続いたが、とうとうチュクルジュマにも2005年、遅まきながら天然ガスはやってきた。

 カプジュはそれ以前、冬場は毎朝ボイラーでまず薪を燃やし、石炭を投入してアパルトマン全体を温めるセントラル・ヒーティングの労働から解放されたのだった。ボイラーが使われなくなると、カプジュ一家はその周辺と部屋の間の壁を打ち壊して6畳とつなげ、もとのボイラー室を夫婦の寝室と子供達の寝室とに分けて改造したのだった。その他薪置き場や石炭貯蔵庫のあとも自分達の物置として使っていても誰も文句は言わなかったが、実はその部分はアパルトマンの12軒の共同資産なのである。

 住民達は暗黙の了解で、無償でそこをカプジュ一家が使うことを容認しているのだが、次第に家賃を払って住んでいるキラジュ(借家人)のごとく、大家である住民達に向かって、業者を入れて居心地良い普通のダイレ(フラット)に改造してくれ、と言いだすようになった。

 冬場は毎日のボイラー焚きが無くなったと言うのに、アパルトマンの階段や廊下の掃除は週1回に減らしてしまい、カプジュの労働条件である、7~8時間はアパルトマンに勤務していて、持ち場を離れてはいけない、という掟を破り、就労時間内にほかの事業所の掃除に行っていることも判明し、住民の1人が携帯電話の動画で遠くから隠し撮りに成功している。

 2005年以降、チュクルジュマに急速な変化が見られるようになった。天然ガスが入り、戸別暖房が可能になってから、このチュクルジュマはタキシム広場から徒歩10分足らず、トラムワイや市営バスのトプハーネ停留所に徒歩6~7分、イスティクラール通りへ徒歩数分という絶好の地理的条件が幸いして、地価と家賃が高騰し、多くの家主が少し内部を改装して、自分達は地価や家賃も安い他の地区に引っ越した。

 空けた家を不動産屋に任せてキラに出す(貸家にする)ようになり、家主あるいはその娘や息子などの親族が住んでいるのは5軒、家主が画家でアトリエとして使っているのが1軒、あとの6軒はキラジュ(借家人)が入れ替わり、立ち替わり、出たり入ったりしている。

 そうなってくると、今までのようにアパルトマンの住人の誰かが代表となって、管理人として持ち回りで2~3年ヨネッティジという役目を果たす習慣もなくなってしまい、最後のヨネッティジだった看護師の女性アイリンさんも、老齢の父親・母親が病身となって、3年の闘病の末父親が亡くなった。

 そう言う彼女のたいへんな時期に、定期的に住民会議を招集しても私と下の階のヴェダットさん以外は家主達が誰も出席せず、毎度毎度お流れで、何も決められない状態に耐えきれず、アイリンさんもとうとう嫌気がさしてヨネッティジの仕事を辞退してしまった。

 アパルトマンは無法状態同様で、カプジュが好き勝手に月額の頭割りを各戸から集めていたが、この12軒のうち2軒が数年に渡り全く払わなかったため、カプジュはこの2軒を相手取っていてもらちが明かないことを、誰かに入れ知恵されたらしい。ヨネッティジを置かず、カプジュの待遇改善にも耳を貸さない、と言う罪状(つまり、不当労働行為)で、毎月きちんと支払っていた家主達10軒もいっしょくたにして裁判所に訴えたのだった。

 それが去年の後半からおそらく今年の年頭の頃であろう。裁判所から調停の呼び出しがウルガズ・アパルトマンの代表者「ヨネッティジ殿」という形で文書が来ても、これをカプジュが隠し、裁判に誰一人行かせないようにし、誰も来ないので裁判放棄と断定されたらしい。

 裁判所から、あるいは冒頭の「イシクル」から調査員が来るという知らせもカプジュだけが受け取って、私達当事者の誰ひとりにも見せないとすると、もともと嘘つき夫婦なのだから調査員には好きなことを言い放題だったろう。つまり、私達家主グループは欠席裁判にかけられたも同様で、とうとう「イシクル」から12軒当てに、カプジュの退職金にも相当する金額が罰金として申し渡されてしまったのである。

 去年の秋からアイリンさんや女流画家のエリフさん、女性建築家のエシンさんが相談し、外部からヨネッティジなどを派遣する会社があるので、うちのアパルトマンでもだれかいい人を見つけて何かあった時のために対処しましょう、と言われたので、もちろん私も賛成していた。

 今年に入ってこんなことになり、急遽3女性が相談して、アジア側にあるコンサルタント会社の責任者ムラット氏がたいそう正義漢で、信頼が置けるという報告なので、その人と契約することに賛成し、私も4月9日の第1回目の緊急住民会議から加わりたかったのだが、アンカラに近いボル県で友人の結婚式があったので、泊まりがけで出かけるため、4月25日の第2回目から会議に加わることになった。

 当時のカプジュ側の要求は「あと2年くらい、定年退職までウルガズ・アパルトマンで働く。今すぐに出ろと言うなら退職金を2倍払え」との内容だと言うのを知った。今すぐにでも出してしまいたいが、もちろん2倍払う気はどの家主達にもなかった。

 しかもカプジュは、あと2年いるからには、自分達の住まいの地下室を住民達の負担で、コンピレ(完全に)改装し、床をコンクリート打ちっぱなしではなく、焼成煉瓦を敷き、その上に合板でもいいから、木目の床材を敷け、とのご託宣。その図々しさにみんな顔を見合わせた。大雨でも急流になって下る洪水が入らないように、縁石を高く改造しろとか注文が山とあった。

 会議の席にはカプジュは出ていないので、カプジュが住民に与えている不快感についてみんなが話し合い、彼の息子が飼っている巨大な闘犬ピットブルのオスを置かせるな、と全員が望んでいた。ずっと地下室に置かれているので夕方の散歩に出るときは、ものすごい鼻息で牙をむき出し地下から上がってくるので、ちょうど玄関に入って来た人は肝を冷やすのだった。

 後ろ脚で立ち上がると私よりよほど背が高くなるので、犬は喜んでそうするのだが、飛び付かれると吹っ飛ばされてしまいそうだ。犬は私にはなついているので悪さはしないのだが、知らない人には大変な脅威に違いない。

 そのうちに、「イシクル」からの罰金だけは国家機関だから払わないわけにいかないので、ムラット氏がきっちり計算してくれて、5月末から銀行に払い込まなくてはならなくなった。

 罰金が1戸当たり毎月420リラ(15,000円くらい)、6ヵ月続けて払い、10万円弱である。私にとって猫の餌代だけだってバカにならない金額なのに、身に覚えのない罰金をどうして背負いこんだのよ、あいつらのせいで、と思わないではいられない。

 その頃、この悪人一家のせいで、私はせっかく貰った翻訳仕事にも打ち込めない状態になり、友人にも半分手伝って貰って何とか納品したが、エレベーターの電源を故意に切ったり、廊下や階段の電源を切ったり、目に見えてカプジュの嫌がらせが激しくなった。

 ムラット氏は、7月23日に役所を通じてカプジュに退去通告を出したが、連中は居座っており、エレベーターはしょっちゅう止まるし、断水もしばしば起こって、これも奴らかと疑ったり、外に出たがるミディエを出してはやりたいが・・・

 昔、私の育てた子猫を外に出すと、カプジュか女房がつかまえて背中の上から踏み殺してしまったり(そうに違いないと私はにらんでいる)、大けがをさせて何度も入院、手術などで大金をはたいてしまったこともあるので、治れば大金であろうと惜しくはないが、治療して貰った上に死んでしまったり、いくらでも文字通り踏んだり蹴ったりの事件があったのである。

 そう言う鬼畜のような連中なので、私の財布から母と娘とで、がんがん高額紙幣を抜き取るような真似をするわけである。泥棒!とと突き出してやるのは簡単だが、娘の将来を考えて不問に付したと言うのに、カプジュの給料を一度も遅滞なしに払い続けた10軒の家主を、不当労働行為で裁判に訴えると言う人道に外れたまねをすることにも呆れたし、幼稚な子供だましにしても、エレベーターや階段・廊下の電気を切って嫌がらせで私達を困らせるのだから、天罰でも下れっ、と叫びたいほどのオフケ(不快感)で頭が充満してしまいそうだ。

 しかし、まあ、世の中は分からないもので、9月2日の住民会議で、ムラット氏が残念そうに「元カプジュのアイダット(月給)を払わなかった2軒と、大工のBウスタが、カプジュ側について、私ども10軒の家主側に、カプジュへのターズミナット(慰謝料または退職金)を、いきなり100ビン(ユズビン=10万TL)出せ、と通告してきました。私どももいよいよこの件を弁護士に依頼することにしましょう。弁護士もこの件は目下いろいろ調査中で、逆提訴に持ち込むことを考えています」と言った。

 その3軒は何と言う汚い連中だろう。この元カプジュへのターズミナットは、何の落ち度もなく働いたとしても通常の計算なら4万リラが妥当な額。それを今すぐ辞めろと言うなら倍額の8万リラを出せ、と元カプジュが言うだけでも欲張りで呆れるのに、さらに2万リラを増額して来た理由は、長年月給を払ってやらなかったくせに、今度はカプジュの肩を持って、コムシュ(隣人)だった私ども10軒の家主からむしり取った金で、おそらくその3人が元カプジュから1万リラくらいずつコミッションとしてふんだくる腹積もりなのに違いない。

 あるいは2万ずつふんだくっても、元カプジュには本来の4万が行くのだから文句はあるまい、と濡れ手で粟の儲け話とみているかも・・・吐き気を催すような奴らではある。

 つい1週間くらい前にも故障だと言って電源を切ってしまい、住民達を困らせた元カプジュは、前回は会社の修理係に来て貰って翌日すぐに直したのに、今日はまた夕方エレベーターの電源を切ってしまった。バイラムが明日からに迫っている今日、バイラム中はエレベーターの管理会社も直しには来ないので、4日間住民を困らせてやれる、ウシシとばかり、わざとそうしているのだろう。

 ああ、嫌だ、嫌だ。こんなに汚い連中がどんどん増えている今のトルコが嘆かわしい。

ev  
今年もあと2ヵ月もすると、蔦の葉がこんな風になる予定なのですが、
小一年続いているカプジュ騒動、それまでには片付いてほしいものです。








   かに座さそり座いて座
かに座さそり座いて座



madamkaseのトルコ本 「犬と三日月 イスタンブールの7年」(新宿書房)



















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Last updated  2016年09月14日 17時15分11秒
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