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2017年05月31日
カテゴリ：食べ物シリーズ
【５月３１日・水曜日】 父・加瀬俊雄がもし、今も健在だったら今日は９２歳の誕生日。今までもこの季節になるとよく作ったが、今日はまた格別な「としお麺」を作って食べよう。 味噌があるので、昨日、外出の帰りに買ってきた挽き肉と、玉ねぎ１個、にんにく数粒をみじん切りにし、挽き肉２００ｇを炒めたあと、玉ねぎとにんにくのみじん切りを一緒に炒める。味噌を入れ、塩と昆布だしと醤油を少々入れて味を調節し、青ねぎのみじん切りも出来上がり寸前に入れて、としお麺の味噌ソースを作った。 しかし、うどんがない。 手打ちうどんは、いつもイタリア製のパスタマシーンを使って拵えていたのだが、去年の暮れに台所のテーブルから外して清掃し、あとで取り付けようとビニール袋に入れて、ほんの１日か２日の間、と洗濯機の上に置いたら、正月早々マヤちゃんを亡くしたりしたため、幾日もそのままになり、ついこの間猫に洗濯機の後ろ側に落とされて、拾えないまま半年過ぎた。 仕方がないからウイグル麺（ラグメン）の打ち方で作ることにした。目分量で２５０gくらいの小麦粉に、山芋の粉を混ぜ、水も目分量で少し塩を振り、せっせと手でこねて、最後に全体重をかけて足で踏み、丸めてビニール袋に包んで、しばらく寝かせることにした。 午前１１時５０分、未亡人となって４年余りの義母に電話をかけた。 「あら、由美子さん、お父さんの誕生日だから掛けてくれたの？」 「そうなのよ、すぐ分かった？ お母さんはどうしているかと思って。この頃どうですか、お元気？」 「ありがとう、元気、元気。今日はちょうどお父さんにもご馳走いっぱい作って、今ちょっと前に２人で一緒に食べたのよ。でもまだ座りこんでお父さんと喋っていたところなんだけどね」 私より１０歳年長の義母は、背筋もシャンと伸び、丸顔でニコニコしているので、年齢よりずっと若々しく、V子がときどき、私に「お母さん、少しは身だしなみとか、髪型とか気を付けなよ。おばあちゃんの方がずっとお洒落だよ」とハッパをかけるほどである。 「もう、お父さんの話が出来る人は由美子さんしかいないのよ、私には」と義母は言う。 義理の親子というより、年齢的に姉妹のような私達だし、私も「頑固だったわよねえ、お父さんたら」などという話が出来るのは、もうこの義母しかいないのだった。 私達は３０分近く話をし、「俺をほっといて、２人で何をぺちゃくちゃ喋っているんだ、とお父さんが怒り出さないうちに、今日はこれで失礼しますからね、お母さん。じゃあ体に気をつけてね」と電話を切った。 夜までの間に寝かせておいた麺の生地を、３段階に分けて麺を少しずつ延ばししながら、まあ、何年かに一度しかやらない割には、作り方を忘れてないな、と思いつつウイグル麺を作った。 ウイグル麺は、練った生地に植物油を塗って日本のそうめんと同じ技法で作るのだが、そうめんのように紐にかけて細く長く延ばしたりはせず、手で延ばしながらうどんの太さほどになると、そのまますぐに茹でて食べる。 私はイスタンブールで、最初のレストランを開いたあと、悪い人間の仕掛けた陥穽に落ちてその店を立ち退かざるを得なくなり、次なる店を借りて工事にかかるまでの間に、ウイグル人の友達がそのまた友人のウイグル人夫婦の家に連れて行ってくれたので、一日入門して手打ち麺の作り方を覚えたのだった。 この麺料理に「としお麺」と父の名を付け、冒頭に書いた挽き肉と味噌のソースをまぶして、トッピングにはあっさりとキュウリや茹でもやしなどを載せ、定番メニューに加えたのである。 よく動画で見られる豪快なぶん回しではないのだが、少人数ならこれで十分。２～３本を束ねて、両端を持ち、まな板に打ちつけながら腕の間隔を広げて行くと、細く延びる。 第１段階 ： 小麦粉を所定の分量、所定の水量でよくかきまぜ、練って丸くまとめる。 第２段階 ： 丸く固めて１時間程度寝かせたものを、細長いバゲット型のパンのようにし、 幾つかに分けて切り、植物油を塗ってまた寝かせる。 第３段階 ： 適度な柔らかさになれば、更に延ばせるだけ延ばしこれを手打ちで広げて行く。 第４段階 ： 両手で下の作業台やテーブルに打ちつけながら延ばして行く。  第３段階のうどん生地を少し細く延ばしてもう一度寝かせます。  こうして茹でる前にもう一回細くなるように引き延ばす。  茹でた時は、こんな風に出来あがります。腰があり、柔らかです。  こんな風にして食べます。美味しく出来ました。  おりしもちょうどイスタンブールはイフタルの時刻になりました。（断食解禁） と言っても、断食もしていませんし、ビール、久々に飲んじゃお。  卵とじうどん。つゆ物にも大丈夫、美味しいです。  とっぴんぐに、マッシュルームや、モヤシの茹でたもの、カイワレなどもお勧め！  挽き肉みそをよく混ぜて、均等に行き渡るようにしましょう。     「チュクルジュマ猫会」   お気に入りの記事を「いいね！」で応援しよう
Last updated
2017年06月01日 22時36分13秒
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