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「・・・もうどうしたらいいかわからなくて」と、悲痛な声で電話をかけてきたのはSくんの母親で。 「夕方に、話し合いましょう」ということで、よし、それまでするべきことをしてしまおう、と自分でも不思議なほどものすごい集中力で家事をこなした。 ていねいに洗濯物をたたみ、ていねいに掃除機をかけ、ていねいにコーヒーポットを磨く。 着メロを変更し、銀行に行って通帳を切り替え、一時間かけて雪かきまで。 「腰を据えて話し合いに臨むべく」だ。 それが。 それが、だ。 Sくんが、体調を崩し病院へ行って急遽、検査だ胃カメラだ、となり病名は 「急性胃炎」 そのうえ、栄養失調気味、とのこと。 冷却期間と称して友人宅で居候している間、カップ麺を一個とかの生活だったらしい。 片や娘は、「離婚届」の用紙を取りに車で向かった市役所の目の前で、「追突」されたとのこと。 相手が全面的に悪くて、まぁ雪道でちょっとスリップしてコツンと、という程度のもの。 お互い、そんなこんなで必要に迫られて連絡を取り合った時に、どちらともなく、 「もしかして、おばあちゃんが思い止まるようにって、仕向けてくれたことなのかな」 と、自然に口から出た言葉だったらしい。 そう、たった一人の孫娘の行く末を一番心配しながら、ウエディングドレス姿を見ることなく突然、亡くなってしまった。 それを充分に知っていて面識もあるSくんは、こうして結婚出来たのも、 「おばあちゃんが、そうさせてくれた」と、自分の祖母のことのように、よく普段から口にしていた言葉。 二人とも、目に見えない「何か」をそれぞれに感じたってこと、だ。 ・・・そんなアクシデントやトラブルが前後してあって、「話し合い」は私の気合いをすっかり無視してお流れに。 当然、二人のテンションが下がったこともあってー。 Sくんの母親も、同じらしい。 で、平穏な夜だったかというと、直接顔を合わせない分、 電話が、ケータイが、メールが、と痺れて手の感覚がなくなるんじゃないか、と思うほどのやり取りが続き、それはそれでハードだったわけだけど。 それでも、じっくり聞いたところ娘には、「自分の考えがあって」胸にしまっていたことがあって、それは「良かれと思って」Sくんに内緒にしていたことで・・・。 コアになっていることの発端が実は別にあり、それを知らないSくんと話がズレルのは当然で。 いやはや。 現実は、やっぱり当事者でなければわからないこと、だらけだ。 「悪いこと」が続いての、気がつけば保留だか、後回しだか、とりあえず、だ。 なんであれ、ストッパーになったらしい。 まだまだ解決した訳ではなく、Sくんの治療や、娘が転職を考えて(今後のためにも)いるらしいし、予想なんて不可能。 なにが幸いか災いになるか、見当もつかない。 ~~~本当は、今日で開設1年目。 ドサクサ紛れだけど、自分の中ではちょっとだけ、感慨深かったりする・・・。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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