大統領竹島入り 日韓関係を悪化させる暴挙だ (8月12日付・読売社説)
日本固有の領土で、韓国が不法占拠している竹島に、韓国の李明博大統領が上陸を強行した。
係争中の領土を一方の国家元首が踏めば、相手国を度外視した暴挙と言える。日韓関係も、これまで築いてきた信頼は損なわれ、冷却化は避けられない。
李大統領は就任当初から「成熟した日韓関係」を重視してきた。実務的で未来志向が強く、日本との連携強化に熱心だった。
だが、昨年12月の日韓首脳会談で従軍慰安婦問題を蒸し返し、高かった評価を帳消しにした。今回の大統領の短慮には、一層の失望を禁じ得ない。
領土問題は国の主権に関わる。ゆるがせにしてはならない。
玄葉外相が、韓国の駐日大使を呼んで強く抗議し、武藤駐韓大使を一時帰国させた上で、国際司法裁判所に提訴する方針を表明したのは、当然の外交的措置だ。
野田首相も「到底受け入れることはできない」と不快感を示し、「毅然(きぜん)とした対応」をとる方針を表明した。問題は、どこまで実効性のある対応をとれるかだ。
韓国が「独島」と呼ぶ竹島は、韓国人にとっては独立・愛国の象徴的な存在だ。だが、歴代大統領は、反日的な発言が目立った盧武鉉前大統領ですら、訪問は控えてきた。日本との関係悪化を避けるための配慮があったからだ。
その一線を李大統領は越えた。政権末期で、金銭疑惑などによる実兄や側近らの相次ぐ逮捕、辞任によって求心力が著しく低下する中、人気回復を図ろうと「反日カード」を切った側面があろう。
12月には大統領選が行われる。野党側が反日色を強める中、与党陣営で何らかの対応を迫られていた事情もあるのかもしれない。
だが、今回の事態を招いた遠因は、日本側にもある。民主党政権の対ロシア外交にみられる北方領土問題への対応の甘さだ。
2年前、当時の大統領だったメドベージェフ氏の国後島訪問を許した。今年7月には、首相となったメドベージェフ氏の再訪を防ぐことができなかった。
日本政府は「適切な対応をとる」と口にこそしたが、その後の展開はロシアの自制につながっていない。対米関係も対中関係も弱体化した日本が、韓国から足元を見られても不思議ではない。
懸念されるのは、韓国が竹島の周辺で近年、軍事訓練を行っていることだ。島の軍事化につながる動きなのか、注視するとともに、韓国には自制を強く求めたい。
(2012年8月12日01時36分 読売新聞)
玄葉外務大臣は、『韓国の駐日大使を呼んで強く抗議し、武藤駐韓大使を一時帰国させた上で、国際司法裁判所に提訴する方針を表明』しただけであって、現在もまだ、方針の表明の域を出ていないし、日本と同時に、韓国も提訴しないことには、国際司法裁判所は受け入れられないと言うことになっているらしいが、韓国は、そこまで領土を主張するなら、何故正々堂々と日本のように、提訴しないのか?
しかし、韓国の大統領、韓国人の行動、言動云々を言う以前に、領土を日本国民として守ろうとする気概の本気度が問題。今回の竹島問題のみにあらず、尖閣諸島についても、北方領土についても、全く同じことが言える。
わが国の政府や外務省に独立国家としての毅然とした態度、行動をさせるのは、何よりも国民の自国の領土を守ろう、侵害は許せない、と言う当たり前の気概の世論であるに違いないと思う。それは、やはり前提となるのは、憲法九条改正。それ無くしては語れないことでもある。国際社会において、外交は、防衛能力(軍事力)が後ろ盾にあってこそ有効なのだ。