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カテゴリ:女性自衛官の教育部隊の教官の頃
昨日、北の地方の教育連隊で、予備自衛官補の教官の件について綴ってみたが、よく考えるとカテゴリーに「女性自衛官教育隊の教官の頃」というものを作っておきながら、まだ全然書き込んでなかったことに気づいてしまった。
本当は、4~6月の正に教育が行われている時期に書き込めば良かったのかもしれないが、仕事でバッタバタしていたので、落ち着いた今になって少しずつ書いていこうと思う。 やっぱりねぇ…、どんな職業や社会においても、表の面、裏話といったものがあるでしょう いろいろあるんですよ、特に女性自衛官の教育の場合は… まずは、新隊員達が入隊以前に、どの様な準備をして教育に臨むのかを記憶のある限り、書いてみたいと思う。 3月の高校や専門学校、大学など新卒者が入隊してくる時期の約1か月前まで、実は10月や11月に入隊する男性自衛官の新隊員教育をやっているので、その教育が終わった~!!なんて気が休まることなく、次の教育準備が始まる。 とは言っても、土日に当直などの勤務した分の代休が溜まっているものなので、休みをまとめてとりつつ、教育準備を始めていく。 だいたい1週間か10日間で、「準備訓練」というものをやって、教育法や授業のリハーサル、予行、様々な情報の共有、認識の統一が行われる。 この女性自衛官教育で特徴的なものは、各地の部隊で勤務する女性自衛官を何名か臨時に勤務してもらって、教育隊を編成することにある。 前述した男性自衛官の教育の場合、教育連隊に所属している要員をかき集めて編成をとってなんとか間に合わせることができたが、女性自衛官教育の場合はそうもいかない。 その教育連隊に入隊してくる女性自衛官は、だいたい100名くらいだった。 それを、4つに分けて、30数名程度の学校でいうクラスに分ける。 このクラスのことを「区隊」という。 第1区隊、第2区隊…、第4区隊というように名称がある。 この区隊の長は、幹部自衛官で階級は、2等陸尉か3等陸尉で、中には曹長という陸曹クラスの教官もいた。 当時、私はその一つの区隊の区隊長だった。 一般部隊でいう小隊長にあたり、部下には5人の陸曹と1名の女性自衛官の陸士長がいた。 この区隊の中を更に、4つの「班」に分ける。第1班、第2班…、第4班という感じ。 それぞれ班長には、2等陸曹または3等陸曹の階級の者が担当した。 その他、班長を総括する「区隊付」と呼ばれる2等陸曹が1名と、直接、指導にあたる女性自衛官の陸士長が教育に当たった。 直接、女性の新隊員達を指導する班長は4人共、女性自衛官ではなかった。 4人の班長の内、1名が女性で、3人は男性自衛官だった。 埼玉県の朝霞駐屯地に「女性自衛官教育隊」という、女性自衛官教育の専門部隊があるが、そこで全ての女性の新隊員達をかき集めて教育が行われて全国に散っていくのではなく、その当時は一般隊員の女性自衛官教育は、各地方の方面隊毎にある教育部隊が担当していた。 この点は現在も変化ないように思う。 しかも、元々、教育連隊所属の女性自衛官の陸曹で班長ができる人は、3名ほどしかいないので、幹部の女性自衛官で区隊長ができる人、班長ができる陸曹の女性自衛官、指導陸士の女性自衛官の陸士長は、各地の部隊から教育期間だけ臨時に支援してもらうという、言わば寄せ集め教育隊だった。 まあ…、陸曹は、男性でも女性でも、知識の乏しい新隊員に対して教育できるように教育訓練を受けてきているし、指導にあたる陸士は1年前の卒業生から優秀な女性自衛官の陸士長を引っ張ってくるので、大きな実力の差は感じられなかったが、やはり全員まとめて教育のやり方のリハーサルや、根拠や規則事項の曖昧な部分を排除して認識を統一することは絶対に必要だった。 特に、実技訓練の部分では、64式小銃の分解手順や、戦闘訓練の指揮要領は何度も時間をかけた。 小銃、つまり実弾を射撃できる鉄砲を、1個1個の部品になるまで分解して結合するという訓練がある。 これは実弾を射撃する前後に整備(手入れ)するためには絶対に必要なわけだ。 しかも、バラバラにした部品を並べる順番も決まっている。 これは夜間や薄暗い照明の乏しい場所でも正確に分解結合できなければならないため。 しかも、例えば分解3分、結合5分以内という様な感じで制限時間内に終えなければならない。具体的な制限時間は、各隊員に伏せておこう。 そして訓練が進むにつれて「分解結合」は、やがて「分結(ブンケツ)」と略されていく… 「ワタシぃ~、ブンケツ超ニガテぇ~」なんて具合に そして、戦闘訓練 戦闘訓練の指揮要領は、教える側にとっても、実はキツイのである。 普通科という職種で、近接戦闘を任務とする部隊は、戦闘訓練そのものが仕事な訳だが、女性自衛官は、近接戦闘部隊で直接火器の交戦する職種部隊(部署)には配属されていない。 そのため、臨時勤務してもらう女性自衛官のほとんどは戦闘支援部隊や後方部隊の勤務者なので、特に班長をやる人は、自分が陸曹候補生の頃に訓練を受けた頃のことを思い出しながらやっていたというのが実情だった。 新隊員達に戦闘訓練の指揮をやらせるのではなく、戦闘訓練間に指揮された通り正しく動作できるのかというのが問われる訳だから、班長が指揮できなければ話にならないのである これは準備訓練の中の一部の紹介だったが、これ以外に実はかなり多くの雑用がある。 例えば、制服や戦闘服につけるネーム、洗濯用バケツ・ハンガー・裁縫セットなど生活に必要な小物の発注、着隊後に実施する面接の諸準備…訓練をやりつつ、これらの諸準備をやっていくと毎日のように夜遅くまで時間がかかり、準備訓練は、あっという間に終わってしまうのだった。 元・高卒陸上自衛官のまいものあるじが購入したもの、欲しいもの、お気に入りのものを集めています。 ↓よろしければ覗いてみてください。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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