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カテゴリ:陸上自衛隊と自殺とPTSD
この本の64ページ中央付近に『幹部自衛官には、職場に泊まり込まなければならないほどの業務量があり、~(略)』とある。
自衛隊に関する詳しい知識をお持ちではない読者の中には、 「自衛隊って公務員でしょっ 朝8時から仕事して、夕方5時には家に帰れるんでしょっ 公務員っていいよね~」 「仕事が多すぎて職場に泊まり込まなければならないって、そんなわけがないでしょう~」 というように思うんじゃないかな~ これは、どんなカラクリでこんな事になってしまうのかを述べてみたいと思う。 夕方の5時に仕事を終われるのは、部隊長か自衛隊に入ったばかりの新隊員、あるいは営内居住をしている隊員くらいだ この本に書かれている『幹部自衛官は、』に該当する隊員は、部隊長ではない幹部自衛官で部隊長の部下にあたる立場だ 部隊長ではない幹部自衛官は、部隊長から見ると「幕僚」という立場であるという。 幕僚は、指揮官である部隊長ではないが指揮官の立場になって物事を考えて仕事をして「幕僚案」という名前とつけて、指揮官の代わりに仕事の答えを準備して差し上げる 指揮官である部隊長は、部下の幕僚が持ってきた「幕僚案」を見て 「異議なし同意する じ後、この幕僚案を進めてくれ」 と言ってくれたら、ここで初めて「幕僚案」という名称が外れて「第〇~隊の方針、構想」となって、幕僚は計画を具体化していって作成していく…というように仕事を進めていけるのだ。 ところが… この本を読み進めていくと次のページ65ページ中間付近に 『現在の指導層2佐以上の上級幹部と1曹以上の40代半ば~40代後半、バブル期入隊世代の資質、能力が劣っている。』 とある。 話を戻して、64ページの指揮官である部隊長が、この資質や能力が劣っているバブル期入隊世代ならば、指導力がないので、幕僚が持ってきてくれた「幕僚案」に指導ができない。 何回も幕僚が幕僚案を持っていっても、指導されないばかりか、部隊長が気に入らないうちは怒鳴りつけたりする。 怒鳴りつけるだけで、全く指導しないので、幕僚はどうしたら良いか分からなくなってくる。 そして、幕僚は他にも業務を兼務しているのが常なので、仕事の業務量が抱えきれないほどになり、職場に泊まり込まなければならないほど追い詰められてしまうのである。 この資質や能力が劣っているバブル期入隊世代の部隊長は、いきなり部隊長に成れるのではなく、もちろん幹部自衛官に任官した直後の階級が若い頃は「幕僚の仕事」を経験している。 しかし、バブル期入隊世代の隊員は本当に資質や能力が劣っている者が多いので、その部隊長が「幕僚」の立場だった頃は、コテンパンに指導されて、怒鳴られても結局のところ仕事ができないで終わってしまっているのだ。 すると、仕事ができないで終わっているから、仕事の知識や処理能力がないので当然、指導ができない状態のままだ。 向上心があり高い資質や能力を持っている者なら、失敗を繰り返さないように仕事を覚えて努力していくものなのだが、資質や能力が劣っているバブル期入隊世代の者は「若い頃に怒鳴られたから、俺が部隊長になったら怒鳴り散らしてやるっ」というような「やられたから、やり返す」というネジ曲がったことしか覚えてないのである 「だったら、最初から資質や能力が劣っているバブル期入隊世代の者は部隊長に就けなければいい」 と読者の中には考える方もいるかもしれない。 その様にいかないのは、自衛隊は結局、お役所なので、どんなに資質や能力が劣っているバブル期入隊世代の者であっても、懲戒処分で退職させなければならないような事件・事故を起こさない限りは自衛隊に残り続ける。 年功序列なので事件・事故を起こさない限りは階級が順調に上がっていき、時期がくれば部隊長のポストに就いてしまう 私が現職自衛官だった頃に「自衛隊なんて、やってられない」と辞めたくなった動機の一つはこれだ。 私のブログを読まれたことのある読者の中には、お気づきの方がいるかもしれない。 「資質や能力が劣っているバブル期入隊世代の部隊長」と「幕僚案を持って行っても、ろくに指導されずに怒鳴り散らされる幕僚」の関係 これは過去に、ブログで書いた『無能な副隊長』と『Mさん』に似ている。 全国各地の部隊で、この様なことが起こっている。 しかし、「人が変わらなければ、組織も変わらない」ので、どんなに人事施策を実施しても絶対に無くならない 「自衛隊なんて、やってられない」という組織なのだ 数多くある自衛隊関連ブログの中から ご覧頂き、ありがとうございます。 ランキングに参加しておりますので ご覧の際には、是非ポチりいただきまして 応援をお願い致します。 ブログ更新の励みになっております。 にほんブログ村 元・高卒陸上自衛官のまいものあるじが購入したもの、欲しいもの、お気に入りのものを集めています。 ↓よろしければ覗いてみてください。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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2023.11.12 15:55:00
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