泰平建設に抗議する!
泰平建設株式会社によるノボリ等撤去の仮処分命令申立てに抗議する。 今般,北九州市小倉北区足立所在の「サンライフ足立公園」に関して,貴社から周辺住民が掲げるマンション建築反対のノボリ,立て看等の撤去を求める仮処分命令申立てが福岡地方裁判所小倉支部に対して,申し立てられている。貴社は,周辺住民の強い反対の中,事前の工事協定を結ぶこともなく強制着工し,工事中の説明会も開催しないまま工事を進行させ,マンション竣工後も補償交渉のテーブルに着くことさえなかった。このため,困窮した周辺住民は,社会にこの問題を広く訴える目的でノボリ,立て看等を掲げ続けたのである。ノボリ,立て看等の内容自体も突然,自らの敷地の直ぐ傍に巨大な壁のようなマンションが建築され,日照・風害・景観・プライバシーの被害など,周辺住民が多大なる損害を被っている実情を訴える内容に過ぎない。この点で,貴社にこそ今回の事態を招いた責任があるばかりか,貴社は,周辺住民によるノボリ,立て看等を撤去させることで,周辺住民とのトラブルを隠蔽してマンションを分譲しようとしている。本件申立ては,結局の所,マンション購入者と近隣住民との間で補償問題が将来,惹起するであろう事を隠蔽して,ただ,マンションを分譲すれば良いという姿勢の表れであり,企業の社会的責任を放棄した極めて無責任な態度の表れに他ならない。このようなノボリ,立て看等を掲げること自体,憲法の保障する表現の自由の行使であることは,いうまでもない。表現の自由が民主主義の根幹を支える自由であり,憲法の人権規定の中でも最も重要な自由として優越的地位をしめることから,その規制に十分な配慮が必要であることは,憲法上の常識である。一旦表現行為を規制してしまうと,同種の表現行為が同様に規制されることになり,国民は,自らの意見を表明する機会を全く失われてしまう。このことは,憲法の自殺行為に等しいことから表現の自由は広く保障されてきたのである。本件のようなノボリ,立て看等の規制が認められると,全国の多発しているマンション建築反対運動やそれ以外の住民運動は,自らの主張を社会的にアピールする機会を全く失ってしまう。貴社が直ちに本件申立てを取下げ,周辺住民の声に素直に耳を傾け,企業としての社会的責任を全うするよう強く抗議する。 足立第一公団跡地マンション建設反対の会