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カテゴリ:エッセイ集
セミナー出席のため、大連滞在がまた2日伸びました。結局、今週一杯、大連に残ることになり、日本へは、週末の全日空便で、戻ることになります。うちの奥さんは、「大連でショッピングする時間が増えた」と大喜びです♪
ここ大連は、日本との経済交流が非常に盛んな土地です。この面ではおそらく、中国No.1でしょう。日本へ働きに行ったことのある大連人も非常に多く、その結果、日本の地名にやたら詳しい人も少なくありません。 そんな大連人から、 「鈴木さんは、日本のどちらのご出身ですか?」 と、聞かれることが、よくあります。 私は、千葉県柏市の出身ですが、相手が外国人の場合、「千葉県」とか「柏」とか言っても、ほとんどの場合、分かってくれません。だから仕方なく、「東京の近くです」と、答えることが多いんですが、相手が大連人の場合、「千葉県」や「柏」という地名まで、ちゃんと理解してくれることが多い。私の知る限り、このレベルの地名まで理解してくれる外国人は、たぶん台湾人と大連人くらいでしょう。 ----------------------------- ご存知の通り、千葉県は、東京のすぐ隣りに位置しています。「新東京国際空港」と「東京ディズニーランド」は、どちらも「東京」の名を冠していますが、千葉県にあります。私の出身地・柏市は、千葉県のなかでも東京に比較的近く、東京駅から電車でわずか40分。十分通勤圏内なので、「東京の郊外」と言っても差し支えありません。 ですが、いくら東京に近い通勤圏内とはいえ、私は東京人ではありません。相手が分かってくれるなら、東京出身ではなく、できれば千葉県ないし柏市の出身者として、認知してもらいたい・・・という、密かなこだわりを持っています。なぜそう思うのか? 1)千葉県は「島」である 「一都三県」という言葉がありますが、東京に近接する、埼玉県や神奈川県と比べて、千葉県は、東京からの独自性がハッキリしやすい、独自の地理的特性を持っています。 東京と千葉県は、厳密にいえば陸続きではありません。「川」や「海」を越えなければ、千葉県に入ることはできません。 というより、千葉県全体が、「島」みたいなものです。地図を見ると、千葉県と、他の都県との境は、すべて「川」か「海」になっています。 余談ですが、以前、東京の練馬区の外れの方に行ったことがあります。住宅街を歩いていると、住所表示が「東京都練馬区」から、いきなり「埼玉県新座市」に変わっていて、ビックリしました。川も海もない、地続きの都県境・・・という感覚が、「島国」千葉県人にはなかなか理解できません。 2)千葉県は「ムサシ」ではない 東京都の、旧国名は「武蔵」(ムサシ)です。「一都三県」のうち、埼玉県の全域と、神奈川県の東京近接地域も、同じく「武蔵」の領域に入ります。たとえば駅名でいうと、 「武蔵小金井」は東京都 「武蔵藤沢」は埼玉県 「武蔵新城」は神奈川県 といったふうに、「武蔵」のつく地名が、都県を越えて広がっています。 ところが、ひとり千葉県だけは、「武蔵」地帯から全く外れています。東京に近い地域でさえ、「武蔵」ではなく「下総」(シモウサ)なのです。 「下総中山」 という駅は、千葉県市川市にあり、東京都心からも至近距離にあるのですが、それでも「下総」なのです。千葉県は昔から、「非ムサシ」地帯なのです。 次に、柏という地域をみてみましょう。ここも、東京の一部とは言いがたい特性を、いくつか持っています。 3)「ベッドタウン」かつ「地方都市」 百貨店、専門店が林立し、いつも賑わう柏の駅前。ここは、東京都心から約30km圏内に点在する、「郊外中核都市」の一つです。 柏という街の面白いところは、茨城県を含む、非常に広範囲から集客していることです。もはや東京通勤圏内とはいえない遠方から、柏に買い物や遊びに来る人も多い。 その結果、柏は、「東京のベッドタウン」という顔と、周辺地域(農村を含む)から人を集める「地方都市」という、二つの顔を持つ都市となっています。 4)「都会」かつ「田舎」 昨年3月、柏市は、隣接する東葛飾郡沼南町と合併しました。その結果、柏市の面積は115km2となり、これは、東京23区で一番大きい世田谷区のざっと2倍もあります。 その広大な柏市域の、ざっと半分は、東京からずっと続く、都市地域です。商業地と近郊住宅地が延々と広がります。で、残りの半分は、「水と緑」の世界です。田んぼと畑、森と沼、雑木林、下手したら地平線も見える・・・という世界。 私は子供の頃から、「都会」と「田舎」という、両方の世界を行ったり来たりしながら、育ってきました。柏ならではのライフスタイルだと思います。 ----------------------------- いま思うと、 「千葉県というでっかい島」の、 「都会なのか田舎なのか、ベッドタウンなのか地方都市なのか、よく分からない」環境で育ったことが、 「東京人のようでいて、そうではない」という、微妙な自己アイデンティティを形成したのだと思います。 また、こういう都会田舎な環境で育ったせいでしょうか、私の心には、常に、二律背反する感情が渦巻いています。つまり、 「田舎者の、もっと都会的でありたい、洗練されたい、強くなりたい、東京者にバカにされたくない」という気持ちと、 「都市住民の、大自然に帰りたい、もっとナチュラルでありたい」という気持ちが、 私の心のなかにいつも共存しており、その両方向から、常にエネルギーが注入され続けているような気もしています。 千葉県・・・そこは、東京の隣り。都会と田舎が出会うところ。都会の心と、田舎の心が、葛藤して、常に巨大なエネルギーが渦巻いているところ。そして・・・ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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