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カテゴリ:大連うまいもの探検隊
賃貸住宅「更新料」訴訟、家主側が逆転敗訴
マンションの賃貸契約を継続する際に支払いが契約により義務づけられる更新料を巡り、京都市の男性会社員(54)が、支払い済みの更新料など計約55万円の返還を家主に求めた訴訟の控訴審判決が27日、大阪高裁であった。 成田喜達裁判長は「更新料の契約条項は消費者の利益を一方的に害しており、消費者契約法に照らして無効」と述べ(中略)・・・家主に約45万円の返還を命じる借り主側逆転勝訴の判決を言い渡した。家主側は上告する方針。 この判決は、大きな反響を呼んでいます。 「これから、理不尽な更新料を取られなくて済む。もしかしたら、これまでに払った更新料を返してもらえるかもしれない」と、安堵する店子がいるかと思えば、 「これから、更新料がとれなくなるかもしれない」・・・日本各地の不動産オーナーに衝撃が走っています。 訴訟の経過を追っていくと、借主は、賃貸借契約書に定められた第一回目の更新料を支払った後、すでに5回もの法定更新を経ており、その期間中に支払った更新料の返還を求めていました。法定更新の際に更新料の支払い義務があることは、契約書に明記されていなかったようです。 つまり、賃貸借契約の書き方次第で、このようなトラブルは防げたと思われるので、この判決がもとで、全国の大家さんが、全ての更新料を諦めざるを得なくなったわけではありません ですが、この判決に込められた社会的意義といえば、 更新料が、すでに時代に合わなくなった。少なくとも、大家が当たり前に徴収できるものではなくなった。 だと思います。更新料は礼金とともに、昔、日本が住宅不足で、家の借り主がいくらでもいた時代に成立した慣習と思われますが、今や住宅供給過剰の時代。需給バランスからいえば、すでに「借り手市場」になって久しいので、 「なぜ、更新料など払わなあかんの?」という疑念を持つ人が出てきて当然と思います。礼金についても、ほぼ同じことがいえます。 私は、大家でもあり、借主でもあります。 自己所有の住宅を間貸しする一方で、自分はUR賃貸住宅に住んでいます。だから、大家の気持ちも分かるし、借家人の気持ちも分かります。 借家人としての私から言わせれば、「更新料、礼金など、一切払いたくない」のが本音です。だからこそ、「更新料ゼロ、礼金ゼロ、保証人不要」のUR住宅に住んでいるともいえます。 東京では、いまUR賃貸住宅がものすごい人気です。たとえば、近所の「東雲CODANキャナルコート」では、入居希望者が殺到し、倍率34倍になったそうです。私がいま住んでいる「ラヴェール東陽町」も、本当に空きが出なくて、数ヶ月、辛抱強く待って、空室が出た途端、会社から半休とって鍵を押さえ、やっとの思いでゲットしました。 裏を返せば、「更新料ゼロ、礼金ゼロ、保証人不要」というURシステムが、世間の支持を集めているといえましょう。逆に、URの近隣にある民間住宅は、未だに旧態依然とした「礼金2ヶ月、更新料1ヶ月、保証人必要」のところが圧倒的に多く、閑古鳥が鳴いているところも結構あります。 私思うに、世の中の趨勢として、「不透明な名目の出費が拒否される」ようになってきてるのでしょうね。 不動産の賃貸に必要な費用のなかで、毎月の家賃と、入居時の敷金は、誰もが納得できるものです。家賃は、居住空間を占用する代価として徴収する、敷金は、退去時の原状回復やクリーニングのためにお預りする、というロジックは、どの国、どの文化でも、たいてい受け入れられるはずです。 ところが、更新料や礼金は、日本各地に慣習として存在するというだけで、誰もが納得できるものではありません。たとえば、外国人が日本に来て、家を借りる際に、「敷金は分かるけど、なぜ礼金を取られるの?」と疑問を持った時、ちゃんと答えられる大家さんは少ないはず。 「郷に入れば、郷に従え」なんだよ!と言い含めてみても、外国人はもちろん、最近の日本人でさえ、そういう理屈には素直に納得しないのです。 逆に、大家の立場からみると、どうなるか? 「更新料と礼金は、時代の趨勢から、縮小せざるを得ない」 「更新料と礼金がなくても、収益を上げられるようなビジネスモデルを考えなくてはならない」 「更新料と礼金を取るのなら、たとえば三回目の更新からキャッシュバックをする、みたいなサービスを考えなくてはならない」 世の中の平均からすれば、私は「物分りの良い」大家なのかもしれません。そんな私でも、どうしても納得できないのが、 「敷金ゼロの賃貸住宅」(東京ルール) です。今は、ワンルームや1Kを中心に、敷金ゼロ物件が全国的に広まっているようですが、普通に考えて、退去時にはどうしても、原状回復、クリーニング代がかかるわけで、それが100%、大家の持ち出しにならざるを得ないという理屈が分からない。入居時に汚損した分、借主も応分の負担をすべきと考えると、せめて、敷金1ヶ月分くらい、大家が預かるのが妥当だと思います。 また、家賃を未納したり、賃貸借契約書に書いてある費用の支払いを拒否するような借主は論外。即刻、退去させるべきです。 また、消費者契約法の第十条を持ち出して、「消費者の利益を一方的に害する契約条項は無効、だから更新料は払わない」、と開き直る借主もいると聞きますが、 借主本人が納得して賃貸借契約書にサインしたのなら、それに従うのは当然です。消費者保護を盾にとって、契約に定められた義務の履行を拒否するのは、モラルハザードとしか言い様がないでしょう。 いずれにせよ、大家にはなかなか厳しい時代になってきたようですね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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