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Manachan's World-東京下町日記

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2009年09月08日
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かなり昔の話になりますが、私は大学生だった頃、学校や地域の国際交流活動に関わっていたことがあります。

その動機はいたって純粋なものでした。当時の私は、長期の休みとなれば必ず海外旅行に出かけ、行くたびに、現地の人にずいぶん親切にしてもらいました。だから、日本に居る時はせめて、外国の方々のお役に立ちたいと思っていたのです。他のメンバーも、同じような動機で、活動に関わっていました。

当時、私の活動内容は、留学生の日本での下宿探しサポートや、日本語レポートの添削、簡単な通訳・翻訳、国際交流イベントの企画運営などでした。

一番苦労したのは、「下宿探しサポート」でした。当時の日本は、首都・東京といえども、外国人の絶対数が少なく、大家さんのほとんどは、外国人に間貸しした経験が皆無。それどころか、外国人と関わるのも全く初めて、という方々が大多数でした。

そういう下宿では、「外国人お断り」がほとんどでした。「日本語が通じないと困るから」というのが、表向きの理由。ご近所や他の借家人とトラブルを起こしたくない、という配慮もあったのでしょう。また、地域の不動産屋も、大家さんを代弁してか、自ら進んで「外国人お断り」をやっていたので、留学生の下宿探しは、困難を極めました。

私は海外で、いろんな国の賃貸住宅に住みましたが、外国人だからという理由で、入居を断られたことは一度もありません。「こんな日本でごめんね・・・」、私は申し訳ない気持ちで一杯になりながら、東京の小金井、国分寺、国立といった地域を、留学生の仲間と共に、足を棒のようにして歩き回ったことを、今でも思い出します。

下宿探しサポートに比べれば、他の活動、特に国際交流イベントは本当に楽でした。結局のところ、外国の暮らし、習慣について話を聞いたり、外国の料理を食べたりして、「ああ、そうなんだ。日本と違うんだね。勉強になったなあ」と満足して帰るだけなのですから、楽なはずですよね。

当時、私が体験した地域国際交流の内容は、「外国人の生活サポート」が3割、「国際交流イベント等」が7割、といったところ。後者は、日本人も外国人も、いずれも変化を迫られないような、表面的な交流に留まることが多かったような気がします。

いま振り返れば、外国人が非常に少なかった、ある意味牧歌的な時代だったのかなあと思います。




あれから15年以上が経ち、時代は大きく変わりました。

特に大きな変化は、日本に住む外国人の絶対数が増えたこと。そして、定住化が進んできたことです。彼らは、日本を生活の場と決め、ここで働き、家族を呼び寄せる。日本で子供を育て、教育も受けさせる・・・「移民社会」が、日本各地に形成されつつあるといえましょう。

とはいえ、彼らが日本語で社会生活を行い、地域社会に溶け込むことは簡単ではありません。日本語の教育、日本の社会や生活習慣に関する教育、ビザや下宿探しのサポート、通訳・翻訳、悩み事相談、価値観の違いのすり合わせ、トラブル対応・・・多岐に渡る分野での、長期間のサポートが必要になってきます。

今日の国際交流は、さぞかし大変な仕事になったことでしょう。外国人の定住化が進んだために、私が以前、苦労した「下宿探しサポート」の数倍も大変な作業が、日常茶飯事のように起こると思われます・・・。

実際、国際交流活動に携わる友人に聞くと、「最近は、地域に住む外国人の生活サポートばっかりだよ」、「たぶん、日本のどこでも同じ状況だと思う」といった答えが返ってきます。




彼らが、外国人の生活サポートという、途方もなく大変な作業を、ボランティアで無償でやっていることは、本当に素晴らしいことで、賞賛の言葉しか思いつきません。

ですが、根本的な疑問がひとつあります。


これだけ外国人の定住者が増えた以上、日本国は、彼らを日本社会のメンバーと認め、受け入れるのか?或いは、あくまでも一時的な労働力と位置づけて、いずれ本国に帰すのか、そのいずれかを決断しなければならないのではないか?


仮に日本国が、前者の決断を行ったのなら、それこそ公費を使って、彼らを日本社会に適応させるプログラムを考え、実施しなくてはならないでしょう。たとえば、大都市圏の小学校に、外国人向けの日本語コースを併設するとか、各自治体に多言語対応の相談窓口を設け、各種専門家を配置する等々・・・。

ですが、日本国の態度は、未だどっちつかずです。一般定住者のビザを、毎年3万人以上に発給する一方で、彼らを日本社会に適応させる系統的なアプローチはほとんど見られません。

その結果、日本語や日本文化リテラシーの低い者を含む外国人が、地域に多数存在することによる数々の問題や摩擦を、国が責任を取らず、地域社会に丸投げしてしまっているように見えます。

また、上のように考えると、地域の国際交流ボランティアは、本来、日本国の行政組織がやるべき仕事の一部を、無償でやっている・・・といえるかもしれません。

このような状況が、持続可能とは思えません。特に、群馬県東毛地域、静岡県浜松地方、愛知県豊田地方など、外国人を多く抱える地域では、自治体や国際交流ボランティア、関係者がどれだけ大変な労力を使っているか、想像に余りあります。

ボランティアの努力は、今後も引き続き必要ですけれども、そろそろ、外国人を日本社会にどう参画させていくかを、国の政治・行政を巻き込んで、日本全体で解決策を考えていくべき時期に来ているように思います。

民主党の世になって、この辺がどう変わっていくんだろうか?





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最終更新日  2009年09月08日 19時55分08秒
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