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カテゴリ:エッセイ集
民主党が政権を取って、わずか3ヵ月。
すでに、マニフェストに掲げた目玉政策のひとつ、「子ども手当」の受給資格として親の所得制限を設けるという話になり、世論が割れています。 読者のみなさんもご存じと思いますが、今年8月末の総選挙前に、民主党がマニフェストで掲げていた内容は、子ども手当には所得制限を設けず、子供のいる家庭に一律支給する、その財源として配偶者控除を見直す、というものでしたので、所得制限の導入は明らかにマニフェストの修正になります。 また、国民新党が主張するように、親の所得制限が年収860万円前後に設定されれば、現在施行されている児童手当と、内容的には大差なくなります。 所得制限が本当に実施されるのか、また上限がいくらになるか分かりませんが、内容次第では、2人の子供がいる我が家も、子ども手当の受給対象から外される可能性は、ゼロではありません。 私は、以前から主張しているように、所得制限を設けることには反対の立場をとります(2009/9/23の日記)。 最近も、友人や両親と何度か、所得制限の話題になりました。普段は温厚な私ですが、この話題になると、いきなり血相変えて、 冗談じゃねえ!!あいつら(民主党政権)、とんでもねぇ大嘘つきじゃねえか! 政府が所得制限やるって言うんなら、俺は不動産でわざと赤字出して、ペーパーカンパニー作っても、意地でも、(子ども手当)もらうぞ!! 余りの剣幕に、友人も面喰っていましたが・・賛否両論はあれ、私が所得制限に強烈に納得できないという気持ちだけは、伝わったようです。 財源が限られている以上、低所得層にもっと手厚くすべきだ、という意見は、どの国にもあります。日本でも、生活保護があり、所得税・法人税の累進税率をはじめ、さまざまな施策があります。これらは、所得の再分配を目的とする諸施策です。 でも、子ども手当の政策目的は、少子化対策や、児童を養育している国民に対する国からの支援であるはず。こういうものに、所得制限を設ける理屈が私には理解できません。 私は、中間層サラリーマン家庭の、一家で唯一の稼ぎ手です。 経済が低迷する今の日本で、中間層であり続けることは、決して容易なことではありません。私は、業界や会社にとって有為な人材になるために、これまで並々ならぬ努力をしてきましたし、今も努力しています。 今のところ、私たち家族の生活は安定しています。次世代を担う子ども二人を育て、教育を与えつつ、税金も国民平均より、多く払っています。 しかし、その経済的安定は、私の健康状態にかかっています。もし、私が働けない身体になってしまったら、家族4人の生活が、途端に行き詰まるのです。 また、私が健康であり続け、働く意思と能力があったとしても、収入がずっと稼げる保障はありません。今の時代、安定した雇用など望むべくもありません。倒産、リストラ、一時帰休・・・一寸先は闇です。 子ども手当の所得制限自体、私は反対ですが、もし上限を年収800万円レベルに設定してしまったら、資産も持たず、働いて食べていくしかない、暮らしに余裕があるとはいえない都市部の子持ちサラリーマン層を、排除してしまうことになる分、なおさら酷い。 言葉は良くないですが、正直、我々都市部のサラリーマン家族が、「目の敵にされてる」と思いましたよ。確かに、私は低所得層ではありません。でも、低所得者層を収奪して富を貯め込んでいるわけではありません。会社の業務で大きな責任を負って、その代価として、サラリーをいただいているだけの身、世の中の誰にも、目の敵にされる理由は見当たりません。 所得再分配には基本的に賛成で、自分は低所得層より税金を多く払うべきと考えますし、実際、払っています。でもその上に、所得再分配でさえない、子ども手当から排除されるのは、どうしても腑に落ちません。 『私は、守銭奴でしょうか?』 私は、お金にはシビアですが、守銭奴や拝金主義者ではないはずと、主観的には思っています。 『私には、モラルが足りないのでしょうか?』 私は人情家ですが、モラリストとはいえません。ですが、人間として、どうしても踏み外してはいけない一線は、守っているはずと自負しています。その一つが、二枚舌を使って、人を傷つけるような嘘をつくことです。 今回、民主党がやったことは、思い切り、二枚舌の大嘘ではないですか? 選挙前にあれだけ、「所得制限なしで、家族手当を出します」と言い、マニフェストに大書しておきながら、政権とったら、わずか三カ月で、前言撤回ですか? マニフェストって、一体何だったの? 政治家の説明責任って、一体何なの? 民主党は、私たちの与り知らないところで出された「国民の要望」により、所得制限をやると説明しているけど、わずか3ヵ月前に、マニフェストを出して、国民の信託を受けて政権とったわけでしょう?どう考えても、マニフェストに書いてあることの方が大事で、それは万難を排して実現しなくちゃならないことじゃないの? 繰り返しになるけど、子ども手当の所得制限は、今すぐ撤回した方がいい。それをやったが最後、政治への信頼が失墜するから。 所得制限の行く末は、目にみえています。その内容が、現行の児童手当とほとんど差がなくなるため、結果、配偶者手当の撤廃もできなくなるでしょう。それをやったら、年収800万円クラスのサラリーマン子育て家庭が、年間20数万円の増税になるので、国民はそれを許さないでしょう。 結局、児童手当が子ども手当と名を変えただけで、現実は自民党政権と全然変わらない。じゃ、政権交代した意味は何なの?マニフェストで政権交代した意味は一体何なの?みたいな議論になる。 そんなつまらないことを実現するために、国民は民主党を選んだわけではないはず・・・。 政治への信頼を取り戻すために、民主党政権には今すぐ、所得制限の撤回と、マニフェストの着実な実施を求めます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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