拳骨和尚の辻説法 その498 【 地獄で菩薩に会った ! 】 2
みなさん ! ごきげんいかがですか。 今日の辻説法は 【 地獄で出会った菩薩 】 の話です。 この地獄と言うのは 【 豊中市民病院の手術室 】 の事です。 執刀医の先生が聞かれたら多分気を悪くなされます。 多分ではなく ! きっとです。 手術室の中では ! 何時 ! 何が ! 起こるかわからないのです。 特に簡単な手術と思われている時に起こるようです。 この人を救う手術を行う手術室が 【 地獄 】 と化したのです。 また~ ! 拳骨和尚は大袈裟なんだから ! ずいぶん脚色していません ? いいえ ! 全部本当の事です。 この時に現われたのが 【 観世音菩薩 】 さまなのです。 この菩薩の事をお話します。 拳骨和尚は自慢にはなりませんが五十五才の人生の中で 三十一才の時の 【 痔 】 の手術から始まって 今まで九回の手術をしています。 ですから 【 手術の達人 】 なのです。 五十歳の時の大事故で七ヶ月の入院をしました。 入院中に三回 ! 退院してからも三回の手術をしました。 その内五回が全身麻酔です。 一回が脊椎に注射をする半身麻酔でした。 今回の地獄は半身麻酔の時に起こったのです。 入院中の三回目の手術が終わった頃に この菩薩さんは拳骨和尚の四人部屋の担当になりました。 豊中看護学校を卒業する前の教育実習に来たのです。 とても初々しくて可愛かったのです。 名前を聞くと 【 ○野あい子 】 ですと答えます。 あい子のあいは 【 愛 】 ですかと聞くと 【 出藍 ・ しゅつらん 】 の 【 藍 】 ですと答えました。 拳骨和尚は 【 天台大師 】 の 【 出藍の誉 】 の 【 あお 】 の 【 藍 】 ですね ! と言いました。 そうです ! 名前の意味を解かってくれている人がいると言って大喜びしました。 その件があって彼女とは仲良しになりました。 病棟の看護師さんは ! とても恐いのです。 特に拳骨和尚のような優等生の患者には ・ ・ ・ そんな中で可愛い女学生のような存在はとても安らぎました。 一ヶ月間ぐらいでしたでしょうか ? 毎日彼女が病室に来るのが楽しみでした。 医療行為はせずに患者の話し相手が主な仕事でした。 いよいよ実習期間が終わりに近づきました。 挨拶に来ました。 今日で終わりです。 お世話になりました。 早く元気になって退院されるよう祈っています。 今生の別れのような気になりました。 そんな中で彼女が何か書いて下さいと言うのです。 拳骨和尚は右手の肘の関節を開放骨折しました。 リハビリの為に病院の硯を借りて 毎日毎日書の練習をしていたのです。 紙は毎日の食事の献立表の裏側を使いました。 この紙が毎回の食事の献立表です。 みなさんが捨てる紙をたくさん頂きました。 これを書いて差し上げました。 藍子さん曰く 【 宝物 】 にします。 と言ってくれたのは感激しました。 自分の子供よりまだ若い看護師見習いの彼女に ! ずいぶん励まされました。 それから三ヵ月後に無事退院しました。 平成十五年四月五日の事でした。 続く。 拳骨和尚