メキシコ組曲
1部ステージの3曲目はアングロ作曲の「メキシコ組曲」。第1曲「コリマ風ハラベ」第2曲「セレナータ」第3曲「クリオーリョのウァパンゴ」第4曲「ワルツ」第5曲「ポルカ」アングロ(1954~ )はメキシコの作曲家。オランダでバイオリンと作曲を学び、室内楽や合唱、管弦楽などがメキシコやアメリカで数多く発表されている。 本曲は5つのメキシコ舞踊がテーマになっており、それぞれを比較して聴くと興味深い。「ハラベ」とは、オアハカ地方の部族発祥の感情豊かな踊りのこと。「ウァパンゴ」はペラクルス地方に伝わる舞踊曲で、ラ・マラゲーニヤでお馴染みの軽快なリズムを持っている。 メキシコは1821年までスペインの植民地だったので、西洋の影響を大きく受けており、「セレナーデ(小夜曲)」はドイツ、「ワルツ(円舞曲)」はオーストリア。「ポルカ」はチェコの民俗舞曲で、いずれも西洋で流行していた踊りが持ち込まれた。メキシコの踊りは、ヨーロッパからやってきた踊りに土着の文化的要素が付加され、時代の流れを受けて次第に形成されてきたと言える。 ちなみに「コリマ」は一地方の名称で、「クリオーリョ」とは、ラテンアメリカのヨーロッパ植民地でスペイン人やポルトガル人を親として現地で生まれた白人のことである。