あるキャンナスボランティアのレポートより。
部分的に転載させて頂いております。
避難所になっている石巻湊中は、GW後石巻中学校のワンフロアを借りて授業再開となりましたが、現校舎は8月一杯で避難所が閉鎖された後、廃校となる予定です。
廃校が決まった湊中ですが、湊中独自の伝統行事であるソーラン節を児童に躍らせてあげたいという教頭先生の熱い想いから今回のプロジェクトは始まります。
約6週間ほど、気仙沼市と石巻市で活動されたキャンナスボランティアのTさんが、15日(日)の夕方、湊中を引き上げる間際にスタッフのHさんより
「教頭先生が学校の伝統行事に使う大漁旗を欲しておられますので、何とか用意して差し上げたい」と聞き、「実家に帰ったらネット使って探してみるね」と軽く請合ったそうです。
Tさんは震災まで千葉県の九十九里沿岸に住んでおられたので、当時の人脈を辿ることも考えたそうですが、津波で被災した飯岡漁港エリアでしたので諦め、そこで「困ったときのMさん(札幌代表)」を思い出し、翌日即連絡をとり大漁旗調達を依頼。
その連絡を受けたMさんは、お父様が漁師さんをしている以前の職場の同僚を思い出し、手短に湊中で卒業の子供たちを大漁旗で送っている伝統行事があること、学校が廃校になること、たくさんの旗を集めたい教頭先生の思いがあることを伝えたそうです。
しかし、依頼しながらも自分がどんなに大漁旗の事を知らなかったかも気づかれたとのこと・・・
というのは、たくさんの思いを込めて作った愛情深い船。進水の際に作る高価な大漁旗は漁師さんの分身と言っても過言はありません。
お正月など家族の大事な行事に飾り、昔は運動会にも旗を拡げ飾り、子供達にエールを送ったりもしたそうです。
しかも昨今の不景気で大漁旗の作り手がいなくなっているそうで、返却してくれるなら・・・手伝いたいという声は沢山集まったようです。
Mさんは、そんな大切な物とお気持ちをお預かりしてお借りする前に、もう一度湊中の教頭先生に、大漁旗をどのように使うのかと聞いて見られたそうです。
大漁旗で半被を作り、子供たちがソーランを踊る。
旗を振ることに使うより、子供の背中に旗が舞う「金八先生の最終回のイメージですあの姿です」教頭先生が一生懸命 ドラマの半被のお話をしてくれたそうです。
それでも、Mさんのお父様の友人が所有されている3メートルの大きな大漁旗の寄贈を申し出てくれて、申し訳ないと思っていたら、「子供たちが元気になるなら・・」と友人のお父様が会社の仲間に、その方々が漁師仲間に声を繋いでくださいました。
「すみません、大事な旗を半被にしても良い方がおられたら、頂きたい」と再度連絡をしたところ、様似町にも廃校になった中学があり、「自分の旗もどうぞ・・」「古くなったものだけど」と・・・旗を届けにきた方がどんどん集まり、夕方にあっという間に70枚を超え、夜までには100枚が集まったそうです。
******以下Mさんより寄せられたML原文をそのまま転載*****
北海道の海の仲間が繋がって、静内の海から襟裳岬の海へと広がりました。
行動力と繋ぐ力に 私自身が元気を頂き、胸がドキドキしました。
「人ってすごい!」 繋がりの強さと優しさに何度も何度もお礼を言って
お陰さまであったかい夜を過ごしました。
今日、届いた段ボールが金庫に見えるかもしれません。
先生と生徒さんの輝く笑顔が楽しみです。
夏の空に日差しを浴びながら勇壮に舞う大漁旗の100人のまぶしい法被の生徒さん。
石巻の8月の川開きはどんな光景なんだろうと思いを寄せながら、これから届く段ボールがとても楽しみです。
どんな人もどんな事も決して1人ではなく、1人からはじまりながら種が飛んでいく事を身体で感じました。
避難生活の時間が長くなってきて心にサポートが必要な方々が避難所には多くいらっしゃいます。
心の専門家だけでは、残念ながら足りません
必要なのは安定剤などの玉や粉の薬だけじゃなく、温かいきもちの人が、手が、あなたの傍にもいる事を感じてもらうことを伝えたい人の薬。
今回、小さい声を発した方、聞き届けてつなげたHさん他、石巻活動で地域を思う
キャンナスの皆さま、素晴らしい大役を頂き、心から感謝いたします。
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湊中の伝統行事・・・廃校というなんとも悲しい響きの言葉を吹き飛ばして欲しい。
私は見に行けないけど、キャンナススタッフの方に写真ファイルのシェアをお願いしたいなぁ。
お近くの方、またはこのイベント開催の時にお近くで活動されるボランティアの皆さんでこれを読まれた方がおられましたら、足を運んでいただけると嬉しいです。