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カテゴリ:革製品
今回は、折財布の造りを比較してみます。
左から、「万双 ブライドル 二つ折り財布(小銭入付)」、「ディスタンス コードバン折財布」、「TAKUYA コードバン折財布」。 この写真では、サイズの違いや、糸の太さの違いは分かりますが、細部の違いは分かりませんね。 まずは、「ディスタンス コードバン・SMGの二つ折り財布・小銭入れなし」を見てみましょう。 革小物市場 「ディスタンス」 は、良質な革を使った革製品を販売する比較的、良心的なお店です。 実際、このコードバンは、滑らかで落ち着いた光沢があり、表面も自然な感じがして綺麗です。 この財布は、既に廃盤になってしまっていますが、フランス産のコードバンが使われています。 縫製は、ナイロン糸のミシン縫いですが、丁寧に縫製されており、たいへん丈夫です。 内装は、左右に4段のカードポケットがあるだけですが、無染色のヌメ革が使われています。 無染色のヌメ革を財布の内装に使うパターンはありがちですが、ここのヌメ革は、かなり上質です。 造りはと言うと、左右のカードポケットを中央の革で繋いで内装としており、1枚革をベースに組み上げられた内装ではありません。 最下段だけが、大きな1枚のヌメ革で、その他の段は、上部だけがヌメ革で内部は布張りです。 この財布は、ステッチの内外両方を念引きすると言う手間の掛かる事をしていますが、これは珍しいかもしれません。 札入れ部分には、仕切りがあり、仕切りには、無染色のヌメ革の1枚革が使われています。 仕切りに1枚革を使っている点は優秀ですね。 コバは、切れ目で、顔料で処理されているようです。 あまり丁寧な処理に見えないかもしれませんが、割れ難く、頑丈なコバです。 ここの革製品は、革に重点を置いているようで、造りもかなり丁寧な方なんですが、造りに関しては、取り立てて褒めるほどではないと言った感じです。 とは言え、一般的な財布に比べれば、かなり丁寧な造りです。 続いては、東京、アメ横万双の「ブライドル 二つ折り財布(小銭入付)」。 ・万双のブライドルレザーの2つ折り財布を買いました その1 ・万双のブライドルレザーの2つ折り財布を買いました その2 高品質な革製品を手頃な価格で売る店として非常に有名なお店ですが、この財布に使われているブライドルレザーも中々綺麗です。 ステッチは、やや太めで、ミシン縫いの左肩上がりを強調したような独特のステッチラインです。 ミシン縫いの場合、ステッチは左肩上がりになるのが普通ですが、実際のところ、見た目は直線的なものが多いです。 しかし、万双のステッチは、左に倒れるような印象になってます。 内装は、無染色のヌメ革で出来ており、左に4段のカードポケット、右にボックス型の小銭入れが配置されています。 1枚革をベースにカードポケットと小銭入れが縫製されており、かなり重厚な造りです。 カードポケットは、見えない部分に多少手抜きはありますが、基本的に各段1枚革で出来ており、贅沢な仕様です。 札入れ部分には、ヌメ革の1枚革を使った仕切りがあり、表のブライドルレザーの裏側にも、ヌメ革で裏張りが施されています。 革を惜しむことなく、贅沢に使った仕様ですね。 コバは、切れ目で綺麗に磨いて処理されています。 万双のコバ処理は、かなり丁寧で見ごたえがありますよ。 難点は、造りが重厚すぎる事。 厚めの革を使うことで、確かに高級感は出ますが、小銭入れ付きの折財布の場合、かなり厚みが出てしまいます。 最後に「万双のブライドル 二つ折り財布(小銭入付)」と先日届いたばかりの「TAYKUYAのコードバン折財布」と比較してみましょう。 写真左側が、万双ので、右側がTAKUYAになっています。 コバのどちらも切れ目で、丁寧に磨かれていますので、見た目にも美しいです。 どちらも贅沢に革を使った使用なので、コバの厚みは、どちらもかなりの厚さです。 万双の財布は、厚いところで4mm程あります。 対して、TAKUYAの折財布の方は、5mm程です。 カード段の部分を見ると、TAKUYAの折財布の折財布の方が革が薄く漉かれており、段差がそれほど出ていませんよね。 また、お札を出し入れする上側(開口部)のコバの厚みは、万双の折財布より薄いくらいで、革の厚みがお札の出し入れを妨げない工夫が見られます。 重厚な造りながら、厚みを最小限に抑える工夫が、随所にされているようです。 屈曲部にも工夫があり、開閉し易い点も、厚みを感じさせない工夫かと思います。 今回紹介した財布は、どれも良心的な造りなのですが、コストパフォーマンスでは、万双が一歩飛びぬけていると思います。 この品質で、この価格は、かなり驚異的です。 しかし、個人的にはHPに書かれているほど、丁寧とは思えず、手抜きもあるので、あまり期待し過ぎるとガッカリかもしれません。 とは言え、値段以上の価値があることは間違いないでしょう。 私の頭の中では、「ステーショナリー工房スリップオン」と「アメ横 万双」が、革業界のユニクロなので。 更にその上を狙うとなると、既製品では難しく、私のようにオーダーメイドと言う事になると思いますが、随分と価格が上がってしまいますので、品質と価格の兼ね合いを、どのように見るかで評価は変わると思います。 とは言え、私がオーダーしたTAKUYA氏の財布の場合は、オーダーした時期も良かったこともあり、比較的安く出来たと思います。 結局のところ、職人さんの手間代が価格の大半を占めることになるので、職人さんのネームバリューのよっても随分価格が変わり、明確な相場はないと思います。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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