天体望遠鏡
天文少年だった私は、天文ジジイになったようです。年とともに幼児に戻っていくのでしょうか。そして、またあちらの世界に旅たっていくのでしょうか。小学生の高学年のとき、両親にせがんで天体望遠鏡を買ってもらいました。高校生まで毎日のように愛用していました。その後、ずっとお蔵入りし、ハレー彗星の接近を望遠鏡で見ました。以来、あの天体望遠鏡は一体どこに行ってしまったのでしょうか。古希を迎え、お墓行きが近づいてきたこの後におよんで、自分のお金で購入しました。昔はアナログの時代で、星を探すには大変な経験と労力が必要でした。しかし、今はスマホで操作するというデジタルな世界。レンズを通して65年ぶりに見た星たちは昔のままです。月のクレーターを見た時のあの感動が蘇りました。なんとなく不思議な感覚です。戦争で多くの人が犠牲になる社会。自然現象により破壊される社会生活。何十年たっても変わらぬ宇宙の星々。もちろん、宇宙とて変化しています。私の人生も紆余曲折を経てきました。宇宙の深遠さを眺めると、ちっぽけな自分を思い返します。人の目では見えない小さな星を見つけたとき、我が身もこんな星でありたい。