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寺島靖国「MY ROOM MY AUDIO」

副題は「十人十色オーディオ部屋探訪」。
2022年8月初版。ディスクユニオン。
作者は早稲田大学文学部（一文か二文かは書かれていない。）独文科卒で、会社勤務の後、吉祥寺でジャズ喫茶を経営していた。斯界の大家らしいが、ジャズに疎い自分にとっては知らない人。
訪問先は次の67箇所。

01 ブルーノート１５００番台を一から聴き直したくなる〝音〟　ラズウェル細木（漫画家）
02 福田雅光が見せた１ミリの甘さもないフィル・ウッズ盤の音福田雅光（オーディオ評論家）
03 スイング・エイジのジャズ人生と心意気が凝縮した空間　北村英治（クラリネット奏者
04 ウィリアムス浩子の繊細な息づかいを味わう絶世の低音　ウィリアムス浩子（ジャズ・シンガー）
05 自作スピーカーの思わずのけぞる音の腕力にねじ伏せられる　炭山アキラ（オーディオ評論家）
06 自分が信奉するミュージシャンの真実の声を聴くための装置　ジャズ・スポット・イントロ（ジャズ喫茶）
07 オーディオ〝究め人〟が達した、生より音のいいベース　永瀬宗重（医師）
08 達人が到達し得る、一山超えたところのノーマルで深い音　林　正儀（オーディオ評論家）
09 部屋とオーディオ機器とのハーモニー感覚に優れた快適空間　福井ともみ（ピアニスト）
10 音の彫像がそびえ立つ、視覚的オーディオの毅然たる佇まい　石原　俊（オーディオ評論家）
11 進化した真空管アンプが奏でる純粋無垢な美音ジャズ　山崎順一（トライオード 代表）
12「ＤＵＧ」の佇まいが物語る中平穂積という生き方　ＤＵＧ（ジャズ喫茶／ジャズ・バー）
13 ＭＡＹＡの気っぷのよさが乗り移った３００Ｂ真空管の音　ＭＡＹＡ（ジャズ・シンガー）
14 松尾明を唸らせた小音量でも満足できる脱ボリューム再生術　松尾　明（ドラマー）
15 音だけでステージが〝見える〟三次元オーディオの離れ業　花村　圭（キャッツハウス 主宰）
16 ジャズの知性を引き出すオーディオ・システムとは　島田裕巳（宗教学者）
17 ヴィーナス・サウンドのジャズ的快楽を再検証す　る原　哲夫（ヴィーナスレコード 代表）
18 音の分離と躍動を引き出すアイソレーショントランスの底力　島元澄夫（出水電器 代表）
19 音の消え方に見る匠のセンシティブな音づくり　木村準二（四十七研究所 代表）
20 川上さとみの音楽とライフ・スタイルが重なる〝特別な場所〟　川上さとみ（ピアニスト）
21 新旧オーディオの融合が化学変化を生む〝ジャズらしい音〟　小菅雅巳（不動産鑑定士）
22 部屋もオーディオも妹尾美里のカラーに染まる清澄な個性　妹尾美里（ピアニスト）
23 レコード本来の音を引き出し最高峰の音にする技　前園俊彦（前園サウンドラボ［ゾノトーン］会長）
24 リッピング音源をヴィンテージで味わう粋な〝折衷オーディオ〟　竹田響子（「サウンドクリエイト」）
25 山岡未樹に聞くセンシティブな耳を満たすヴォーカルの極意　山岡未樹（ジャズ・シンガー）
26 真空管アンプのイメージを覆すブラシ音の生々しさ　サンバレー（オーディオメーカー）
27 現場の雰囲気を味わえるライヴ会場をイメージした音作り　柳本信一（メグ・ジャズ・オーディオ愛好会副会長）
28 メンタルを癒す憩いの空間とナチュラル・ジャズ・サウンド　JAZZ UNION（ジャズ喫茶）
29 見ても聴いてもめっぽう楽しいファニチャー・オーディオ　オーディオみじんこ（オーディオショップ）
30 ジャズ・ライヴの殿堂「Ｊ」をオーディオ目線で紐解く　ジャズスポットＪ（ライヴハウス）
31 店主とオーディオの素敵な関係が醸し出す親密な空気感　アディロンダック・カフェ（ジャズ喫茶／ライヴハウス）
32 秋田慎治の生ピアノが物語る音の真実とは　秋田慎治（ピアニスト）
33 ヴォーカリストの人間臭さを引き出すアナログ・サウンド　武田清一（「ＳＩＮＧＳ」オーナー）
34 音が砲弾となって飛びかかるジャズ的エナジーに溢れた音　CASK（ライヴハウス）
35 マスコミ界の重鎮が語る〝心のスイング〟とは　日枝　久（フジ・メディア・ホールディングス／フジテレビジョン取締役相談役）
36 楽器が空間に浮かぶ!? 魔法のような音の立体感　岩出和美（『ｓｔｅｒｅｏ』編集顧問）
37 屋根裏空間から広がるオーディオの愉しみ　岩崎育郎（衛星デジタルラジオ放送ミュージックバードプロデューサー）
38 ３００チャンネルの音が現出させるオーディオ異次元ゾーン　伊東理基（メグ・ジャズ・オーディオ愛好会副会長）
39 現代ＥＣＭを最も活写的に鳴らす〝中期オーディオ〟の魅力オーディオ・ドリッパー東京（オーディオショップ）
40 広大な試聴室でいい響きを浴び、遊ぶ。気ままな音旅へ　オーディオ・ドリッパー甲府アネックス（同前）
41 ゆったりと空間をたゆたう理想のジャズ・バー・サウンド　ＪＡＺＺＹ ＡＦＴＥＲ ＨＯＵＲＳ（ジャズ・バー）
42 オーディオ・ファンを虜にするシンガーが自室で音に浸る時　井筒香奈江（シンガー）
43 驚愕のスネア・ドラム一発。モダン・ジャズの脈動を聴いた　青鹿孝行（会社経営）
44 ゴルソンに真実を語らせるヴィンテージ・スピーカーの底力　渡来潤次（医師）
45 偏狭なＳＰ観を払拭する〝３分間芸術〟その音の威力　瀬谷　徹（ＳＰレコード蒐集家）
46 クラシック・ファンが求める理想のジャズ・オーディオとは　清本真章（音楽之友社　編集部）
47 オーディオと音楽の哲学的命題？を考えさせる美音部屋　黒崎政男（哲学者、大学教授）
48 一人オーディオを全うするための極私的音空間　後藤啓太（会社員）
49 現代欧州ピアノに焦点を絞った一点突破のオーディオ道　藤田嘉明（「Ｊｅｎｎｉｅ」オーナー）
50 作り手の概念と思想を体現する唯一無二のシステム　山田哲平（明治大学名誉教授）
51 ジャズの滋味を味わうミニマルな私的喫茶空間　横濱ラヂオ亭（ジャズ喫茶）
52 井上信平の心根とシンクロする朗々とした自然体の音　井上信平（ジャズ・フルート奏者）
53 レコード蒐集家に問う〝私だけの名盤〟考　青木繁典（会社員）
54 まるで博物館……４ルーム４オーディオでジャズ鑑賞に浸る　中塚昌宏（メグ・ジャズ・オーディオ愛好会前会長）
55 楽器本来の自然感を大切にしたパストラルな音空間　古屋　明（オーディオ・ファブ 代表）
56 情家みえの佇まいを映し出す普段使いオーディオの実直な音　情家みえ（ジャズ・シンガー）
57 ＪＢＬ vs. ＡＬＴＥＣ ジャズのツボを押さえるのはどっち　サイドワインダー（ジャズ喫茶）
58 中域の鳴りと密度感にオリジナル盤の底力を見た　田中泰彦（幼稚園園長）
59 〝男の隠れ家〟でひっそりと味わうとろけるような音の愉悦　佐々木正武（オーディオ愛好家）
60 家具職人が自室で愉しむ木の温もりと自然感に溢れた音　高橋賢次郎（家具職人、会社経営）
61 ミュージシャンの魂を聞く心意気を体現した純ジャズ喫茶　ＪＡＺＺ ＮＵＴＴＹ（ジャズ喫茶）
62 技あり。ヴィンテージ一筋に生きる男が出す思い切りのいい音　斉藤秀樹（会社員）
63 現代ジャズを綿密に響かせる〝ディテール聴き〟のシステム　大河内善宏（ジャズ・ライター）
64 思わず中空を仰ぎ見る三次元の音世界　平野至洋（タイムロード 代表）
65 絶妙のエネルギー・バランスが生み出すすさまじいパワー感　黒澤直登（テクニカルブレーン 代表）
66 生命の源泉を揺さぶる低音に石黒流オーディオの真髄を見た　石黒　謙（関口機械販売　ACOUSTIC REVIVE代表）
67 果てしなきジャズ・オーディオの道。その極北をゆくひと　三上剛志（医師）

特別編として68番目に、寺島靖国自身のマイ・ルームを小原由夫（オーディオ評論家）が紹介している。
掉尾を飾っている三上医師については、オーディオに大金をつぎ込んでいる点で九州の後藤誠一と双璧をなすといったことが書かれているが、この「後藤誠一」という人は北九州市戸畑区の開業医。
労作には違いないが、なにしろジャズのことがわからないのでピンと来ない。誰かロックでこれをやってくれまいか。