押見修造「ぼくは麻理のなか (1)~(9)」
全9巻。始まってしばらくは単なる「とりかえばや日記」だが、小森と麻理が入れ替わったのではなく、小森は小森で存在したまま、麻理が小森になってしまったことがわかり、複雑な様相を呈してくる。以下、ネタバレあり。結局、多重人格。これはやや期待はずれの結末ではあったが、例によってそこに至るまでの心理描写が凄まじく、押見節満載で堪能した。依が麻理と保健室で寝たときの麻理の台詞を、絶対に知らないはずの小森が知っていたというのは、上手い伏線。しかし、多重人格であるのならば逆に、小森がPCで自分の声を女声に加工していたことを、なぜ麻理は知っていたのかという疑問が出て来る。途中で絵柄に変化が見られるのは、わざと変化させたのか、それとも、ただ単に作画技術が向上した結果なのか。依のルックスは、可愛すぎて役どころに合っていない。が、必要以上に不細工であるよりはいい。