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ボールは回る、地球も回る。-深読みオシムジャパンと日々雑感-

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2007.04.24
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新しい日本代表が動き出して、8ヵ月あまりが過ぎた。ここまで8試合を消化して、6勝2敗、得点13、失点3、アジアカップの予選突破を決めている。

ひとつ気になるのは、先日行われた合宿で、負傷に関して、闘莉王とオシムさん、そして浦和の社長との間にちょっとした摩擦が起こっている事だ。

はっきりした事実関係がよく分からないので、どちらが良い悪いとは簡単に言えないが、オシムさんの行動と言葉をずっと見てきて言えるのは、どんな小さな出来事も、2010年のワールドカップ予選突破という目標に向かっていて、今回の摩擦もそのために起こったのだ。

だから、これが解決したら、大袈裟かも知れないが、ほんの少しだけれど、チーム作りという面で2010年のワールドカップに、近づいていると思う。オシムさんは、そのくらい細かい事も考えているのではないだろうか。

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去年の8月の新代表初戦のトリニダード.トバゴ戦から、この前の合宿まで見てきて、オシムさんは強い意志と情熱を持った勝負師というのが、一番の印象だ。

ワールドカップ予選突破を第一の目標とし、そこから逆算してすべてが導き出されているような気がする。

まず日本を日本化する事から始める。それは、ヨーロッパや南米のサッカーを手放しでコピーするのではなく、日本人の特徴である、スピードと俊敏性と組織力をもとに、今までのサッカーを再編成する。

重要なのは自分たち日本人の体格や性格、性質という具体的な現実からスタートしている事だろう。決して大きくない体つきや、飛び抜けてスーパーな個人技を持った選手が多くいないことを苦にするのではなく、体が大きくないがゆえのスピードや敏捷性を武器として、それを日本人の組織力と組み合わせてチームを作ってゆく。

具体的には、全員がスピーディーに攻撃と守備の切り替えをやり、各ポジションそれぞれにずば抜けた才能の専門家がいるわけではないが、各選手がいろいろなポジションをこなして、それをカバーし、そしてそれを上回るようにする。いわゆる、ポリバレント。

個人技で守備を突破するより、2人、3人と連動連携して、スピーディーな少ないタッチでパスを回して相手を切り崩す。人とボールが動いて、考えながら走るサッカー。

これらの事は、もうオシムジャパンの常識になっている。そして、まったく利にかなった方法だと納得がゆくのだけれど、ここでひとつの素朴で単純な疑問が湧いて来る。

もしオシムさんが、ヨーロッパや南米の強国の代表監督だったら、どんなサッカーを目指すのだろうか? 選手が体格にも技術にも恵まれた、ブラジルとかイタリアとかの代表監督だったらどうだろう?

私には、ブラジルの代表監督就任の会見で、ブラジルをブラジル化すると言って、結局日本でやろうとしている、スピード感あふれた人とボールが連動し、全員攻撃、全員守備のサッカーを目指すように思えてならない。

日本とブラジルに相対的な力の差はあるにしても、やろうとするサッカーは、結局一緒じゃないかと思う。ペルー戦で初招集した中村俊輔に、連携を重視して、もっと走る事と、シンプルでスピーディーなプレーを要求したように、ブラジル代表でもロナウジーニョに、もっとシンプルに、もっとスピーディーにと注文をつけるオシムさんの姿が目に浮かぶ。

オシムさんは、世界のどこへ行っても、どんなチームを率いても、結局こういうサッカーをやりたいんじゃないだろうか。

ただ、こういうサッカーに一番向いているだろう、体がそんなに大きくなくて、基本的な技術と俊敏さを持った日本人に興味を持って、日本を監督の地に選んだのかも知れない。だとしたら、千葉の監督を引き受けた時点で、自分が目指すサッカーで、日本代表を率いてワールドカップに出場する姿が、ちらっと頭の隅をかすめていたと想像するのは、あながち理由のない、単なる妄想で無いかも知れない。

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ところで、今年の初めの週間文春、新年特別号のインタビューの冒頭で、オシムさんは次のように語っている。(このインタビューの全文は、日本サッカー協会のホームページで読めます。)

――日本で4年を過ごし、サッカー観は変わりましたか?

――サッカーは、テレビや新聞、メディアで取り上げるスターだけで成り立っているわけではない。こういうインタビューを受ける機会のない人々がたくさんいて、彼らはそれぞれ具体的な仕事を持っている。マッサーや用具係、選手でも、スター選手のために水を運ぶ(汗かき役の)選手たち。そういう人々こそ重要なんだ。それは日本もヨーロッパも関係ない。


サッカー観の話で、サッカー自体の戦術という様な狭い視野でなく、サッカーに携わるけれどスポットライトが当たらない人こそ大事なんだという、通常のサッカー観とはかなり違った視点からサッカー全体を見ているのは、厳しい勝負師のもうひとつの別の側面が見えて、とても興味深い。

オシムさんにとって、サッカーで一番最初に大事なのは、試合に勝つ事でも超人的なプレーを見せる事でもなく、まず、たくさんの人がサッカーというスポーツに関わり、それを成り立たせるために参加しているという事実を知る事、そして、そこからオシムさんのサッカーは始まる。


(まだ、全部書き上げてないので、残りは次回に続きます。)





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最終更新日  2007.05.17 10:37:44



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