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マックス爺のエッセイ風日記

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2018.06.20
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カテゴリ:芸術論
~仏像を観ないとぶつぞう~

  

 多賀城市にある東北歴史博物館に行って来た。特別展『東大寺と東北』を観るためだが、かなりの期間迷っていた。仏像を観ても写真は撮れないからだ。だが会期が残り1週間と迫ってから覚悟を決めた。もし東大寺に行っても拝観出来るとは限らない。そう思い直したのだ。それにその日から「あやめ祭」も始まるとのニュース。ブログネタ収集には恰好のチャンス。それでえっちらおっちら出かけた次第。

     パンフレット  

 この展示は「東日本大震災復興祈念特別展」であり、サブタイトルは「復興を支えた人々の祈り」とある。大震災もそうだが、実は東大寺も何度か焼失して、そこから復興した歴史がある。そこには心の底から復興を祈願した人々が存在したわけだ。今も昔も変わらない祈りの心。それを体感出来る絶好の機会ではないか。前回もらった割引券を使用し、1200円で入館出来た。

  

 大きな伽藍は大仏殿だ。東大寺が官立の大寺であり、渡来僧の鑑真和上が初めてここで戒壇(正式の僧と認める儀式)を行ったことは知っていた。だが東大寺が大和国分寺だったことと、全国の国分寺の総寺だったことは今回初めて知った。源平の戦いや江戸期の火災で大仏殿が焼け落ち、大仏が野ざらしになっていた時期もあった由。何度かの受難を乗り越えて、今日に至っている。  

     

 南大門の金剛力士像(仁王様)の顔。巨大なレプリカが観覧者を迎えてくれた。左が「阿形」で快慶作。右が「吽形」で湛慶作。併せて「阿吽」。展示物の撮影は許可されていないが、ポスター、パンフレット、レプリカなどは大丈夫。このシリーズの写真はそれらから撮った。またネットから借用した写真も、一部参考のために使った。

           

 私の手ではない。大仏の右手である。もちろん手だけを奈良から運ぶことは出来ず、これもレプリカ。右手は衆生(大衆)を招き、左手は衆生を救うとされているようだが、これはたくさんの入館者を招いているのだろう。逆光の中に立つ大仏の手は実に荘厳。さて、館内ではどんな展示が私を待ってるのだろうか。

   

 手だけでは分かり難いので、上半身の図をネットから借用した。行基が苦労の末勧進し建立された大仏は、東北(宮城県涌谷の黄金山神社と伝わる)から初めて産出した金でその表面を飾られた。それが源平の戦いで南都(奈良)は焼かれ、大仏の上半身も損傷した歴史がある。

     

 これは大仏の台座の連弁に刻まれた仏像。この部分は焼けず、創建時の姿がそのまま残った。折角の機会なので、ネットから借用して紹介した次第。勇躍特別展会場へと向かう。

        

              国宝 重源上人坐像 鎌倉時代

 治承4年(1180)の戦火によって、東大寺は大仏及び大仏殿など、伽藍の大部分を焼失した。この重源上人は大勧進を勤めて復興に尽力。ついにその念願を果たした。坐像は還暦時の姿。

     ひたすらに背を丸めて数珠を繰る 還暦の上人姿尊し      *せな
            
        

             重文 公慶上人坐像 江戸時代

 江戸時代にも東大寺は焼失する。その復興に尽力したのが公慶上人だ。寝食を忘れて復興に勤しみ、東北地方などを20年間に亘って勧進して資金を募った。入寂の直前までの苦労で目は落ち窪み、頭蓋骨の形がそのまま浮き出るほど痩せた由。

     やせ細り眼はらんらんと上人の 不動の祈り大仏殿建つ

 両上人の坐像を観た時、その気迫に打たれた私は思わず歌を詠んだ。暗い館内で即興の歌を書き記すのは至難の技。だがそんなことは彼らの苦難に比べたら些細な戯れだ。これ以降も仏像などを見ながら、作歌と作句に励んだ私だった。

        

 今流行りの「うんこドリル」ではない。これは大仏の頭を飾る螺髪(らほつ)。つまり巻き毛なのだが本物ではない。大仏殿再建の資金を集めるため上人らが全国を歩いた際、人々に大仏を身近に感じてもらうために作ったレプリカだ。これで大仏の大きさと大仏殿建立の大変さを知ってもらう工夫だった。<続く>

             あらとうと螺髪の裾に金の蓮





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Last updated  2018.06.20 00:00:34
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