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マックス爺のエッセイ風日記

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2020.09.17
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~不確実性の時代~

  

 若き日。私は「新刊ニュース」を見るのが好きだった。職場は大学図書館なので、近々どんな本が出版されるかを調べるのも重要な仕事なのだが、同時にちょっとした憩いでもあった。1つは自分の趣味である、古代史、考古学、民俗学などの新刊書のチェックと、連載の「ショートショート」を読む楽しみだ。それは600字ほどのごく短いSFで、星新一などがその当時の主な書き手だった。

                    

SFつまりサイエンスフィクションはまだ新しい分野だった。私が読んで面白かったの作品の白眉は、何と言っても小松左京の「日本沈没」上下巻だろう。1973年が初版で、後に映画化もされて有名になったが、地殻変動で日本列島が海中に沈み、脱出した日本人が世界の各地に移民して生きると言う文字通り地球規模の手に汗を握る、面白くかつ日本人にとっては恐ろしいストーリーだった。

  

 その小松左京のSFに「復活の日」1964年初版がある。驚くことに、テーマは未知のウイルス。人類が未知のウイルスと遭遇してどう戦い、どう克服したかを描く。東京オリンピックが開催された昭和39年の段階で、なぜ小松がこんな突拍子もない話が書けたのか。それは彼が過去の精密な調査だけでなく、その事象を未来への予見に当てたことにあるらしい。そして彼が常時アメリカ文化センター(後のアメリカンセンター)に出入りし、学術雑誌のScientific American などにせっせと目を通し、

 最新の科学情報を入手していたからこそ可能だった由。京都大学文学部でイタリア文学を専攻した彼は、類稀な科学的精神の持ち主でもあった。だから遺伝学や分子生物学などの領域にまで関心を寄せ、核酸だけのウイルスも想像していた。ともあれ、66年も前に新型コロナウイルスによるパンデミックを想定させる科学小説を発表していた先見性に、まず驚かされるのだ。

                        

 さて、話を現実の世界に戻そう。先ごろロシアの体制批判派の活動家が何者かによって毒物を飲まされ、空港着陸後病院に運ばれた。ロシアの医者は毒物によるものではないと公表したが、彼の支持者によって転送されたドイツの病院の検査で、酵素の作用を阻害するロシアの毒物が検出された由。それはさらにフランスなどの検査機関による分析でも確認されている。

 以前には放射性物質を盛られて英国で死亡したロシアの反体制活動家もいた。ロシアはスパイが横行するとても危険な国家だ。プーチン自体がKGBと言う諜報組織にいたことが知られている。そして彼は先ごろ憲法を改正し、自らが85歳くらいになるまで現在の地位に留まることが可能になった。40年にも及ぶ長期政権。そうして自らに反逆する者を次々に排除する強権発動の連続。ロシア国民はそれでも幸せなのか。

  

 11月の大統領選を目前に控えたアメリカでは、共和党、民主党を問わず外国からのサイバー攻撃に曝されている由。調査によれば攻撃の主は、中国、ロシア、イランとか。幸いまだ大きな被害は出ていないが、世界は今スパイや情報操作で自国の有利な状況を作ろうとする、危険極まりない時代に突入した感がある。

 日本でも最近預金が勝手に下ろされる事件があったばかり。最近は政府にもサイバー対策部門や、自衛隊内にも専門の部隊が出来たが、野党の反対でスパイ防止法すらない頼りなさなのだ。菅新政権ではいよいよITを含む情報技術の革新を目指すデジタル庁の新設や、省庁の縦割りによる弊害の排除に乗り出す意向のようだ。遅きに失した感は拭えないが、やらないよりはマシだ。

             

 さて今回の新型コロナ騒動が、もし企図されたものだとしたらどうだろう。つまり「生物兵器」としての活用だ。あながち否定は出来ない。現にテキサス州ヒューストンにあった中国領事館の関係者は国外追放になった。ロサンゼルスで逮捕された中国人研究者は中国人民軍の女医で、アメリカのウイルス研究情報を盗んで本国に送る任務を担っていたと言われる。トランプさんが怒るのももっともだろう。ぐー怒ってる

 彼女の逮捕を黙認したのは、カリフォルニア州にある中国の大使館の閉鎖を免れるためとも言われる。そして中国は武漢のアメリカ領事館の閉鎖と、領事館員の即刻退去を命じた。また武漢における新型コロナ感染症の発生源を追っていたオーストラリアの記者の逮捕を図った。彼らは香港の大使館に逃げ込み、何とか母国に脱出した。オーストラリアが対中国政策を見直したことへの制裁。

 こんな風に今は情報収集合戦のさ中。どちらがより優位な状況に立つかの戦争なのだ。南シナ海、東シナ海における横暴や国内での人権侵害を理由に、中国の封じ込めを狙う欧米のG7グループ。貿易、経済、国連改革など自由主義国家と全体主義国家間による地球規模の戦いの真っ最中だ。オリンピックも新型コロナも、米国大統領選も果たしてどうなるか。不確実性の現代はまさに人類の岐路なのだろう。





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Last updated  2020.09.17 06:41:26
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