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マックス爺のエッセイ風日記

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2022.01.24
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カテゴリ:俳句
~師との対話~

  

 滅多に人を褒めない講師が、この日は最長老の受講生を褒めた。唯一講師よりも高齢の方。その彼が提出する作品のほとんどが武張(ぶば)った句。生真面目な性格が彼の句や書かれた文字にも表れている。講師が褒めたのは声の大きさといつに変わらぬ彼の句。世界を股にかけて旅したのか、いつぞやはオーロラの句を提出。私は彼がある月刊誌に句を投稿してることを知っている。無口な努力家なのだ。

             かまど神   

 私が提出したのは3句。先ずは季語の「繭玉や」を上五にした兼題。

          繭玉や厨におはすかまど神  まゆだまやくりやにおわすかまどがみ

 繭玉とかまど神の「取り合わせ」は上手く行った積もり。だが「厨におはす」が失敗。私は晴れがましく居間に飾られた繭玉と、暗い厨(台所)で家の安全を守るかまど神との対比が面白いと考えたのだが、「かまど神が厨(台所)に居るのは当たり前」なので、その「中七」が無用だと。「中七」は「下五の説明」に気を取られていたが当然のことを言うのは無駄。使える音が17音の俳句では特にそうだ。

  

 2句目。   届きたる友の賀状の癖字かな  とどきたるとものがじょうのくせじかな。

 こちらも「賀状は届くもの」でちょん。言わずもがなのことは言葉の無駄だと講師。まだまだ推敲が足らなかったようだ。自分の句の言葉に酔ってしまうと、そんな単純なことが見えなくなるのだ。

           通し矢   

 3句目。   振袖の白き腕や弓始    ふりそでのしろきかいなやゆみはじめ

 「白き」を注意されるかと思ったが、結果は無添削。新年早々に矢を射る行事が季語の「弓始」。京都三十三間堂の「通し矢」が有名だ。振袖姿のお嬢さんが襷(たすき)をして弓を引く際に露(あらわ)になる腕の白さを強調した。添削はなかったものの、「袖」が衣偏(ころもへん)ではなく示偏(しめすへん)の誤字を指摘された。目が良く見えないのと、字の確認を忘れたことによる二重の失敗だった。

   

 講義終了後、私は誰もいない教室で講師に尋ねた。講師が以前から今後の体調次第では講師を辞めると言っておられたことに関してだ。主催者からは「俳句教室」の講習期間は年度と無関係で、体調次第でいつ休み、辞めても良いと言われている由。肝臓がんが肺に転移して治療中だが手術は受けないと明言していた。それでいざという時の臨時講師を私に依頼されたが、私は体調不良を理由に断った経緯があった。

                  

 「体調は今も良くないが、手伝いたい気持ちはある」と伝えたら喜んで、今後休む際は「自習」と言う形で代理を頼むとの返事。体調の関係で安請け合いは出来ないが、今は講師と話せて良かったと思っている。無論彼の講義の継続が最良の道。私に人を教える力はないが、一緒に学ぶことなら可能。寒風の中ペダルを漕いで帰宅し、早速来月の兼題に着手。次回も難題だ。「上手くなるには挑戦心が必要」。講師の言葉を心に刻みたい。俳句の道は遠く厳しいが私の命が持ち、さらなる高みに到達出来るかどうか。頭痛がまだ続いている。<未完>





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Last updated  2022.01.24 00:00:16
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