マダンチの勢いが止まらない。先日ハズフィ杯アブ・モスレム戦で豪快なハットトリックを達成したのもつかの間、続くマラヴァン戦でも2ゴールを叩き込み準決勝進出の立役者となった。ここのところジャバド・カゼミアンとの2トップで攻撃力に磨きをかけている若干20歳のレフティーは自らのドイツ行きを確実にしたようだ。強烈な左足のシュートのみならず正確なパスを駆使したゲームメイクセンスとスピード溢れるドリブルでの突破力を併せ持ち、バイエルンとの親善試合では世界屈指の右サイドバック、ウィリー・サニュールにも臆する事無くバトルを仕掛けるなど勇猛さも見せた。さらに若干18歳で2003年の3月ベラルーシ戦にフル代表デビューして以来、ニュージーランド戦、そしてU-23代表のカテゴリーにおいてもオリンピック予選の主力として活躍、さらに台湾戦では見事な2ゴールでチームを勝利に導いている。キャリミ、そしてハシェミアンら前線の主力が怪我で戦線を離脱している今、早熟のレフティーが見せるパフォーマンスは代表にとっても好材料といえるだろう。
マラヴァン戦
一点目 二点目 アブ・モスレム戦
ハットトリック
一方、代表GKミルザプールの実力を不安視する国民からは激しいバッシングが繰り広げられている。国内リーグでは王者エステグラルに4点、昨季の覇者パスには7点を叩き込まれ、さらにはアジアチャンピオンズリーグにおいてもウズベキスタンのパフタコールに先制しながら3失点で敗退するなどの惨状に憂いているのだ。勿論失点が全てGKの責任ではないが、フーラド・フージスタンの守備陣はカメリとバダヴィの元代表組にアラヴィとカービィという現代表、さらにはU-23代表の主力DFであるぺジマン・モンタゼリという豪華な布陣にも関わらず、ここ最近の試合ではあまりにも醜態を晒し続けている。国民からは新進気鋭の若手GKヴァヒド・タレブルーにチャンスを与えるようブランコに圧力をかけているが、彼の選択はいつものように変わることはないだろう。当然この段階でGKを変更するなど考えられないのは明らかだ。タレブルーは確かに安定したセービングでチームを優勝に導いたがフル代表での経験に乏しく、結果イランは不調極まりないミルザプールを第一GKに選択する以外に無いのだ。私も彼の実力には
懐疑的で、2002年日韓W杯最終予選で成す術なくバーレーンのゴールを許した頃からは成長したと思うが、決してベストの選択では無いと感じ続けてきた。長身だが時にハイボールにかぶる判断力の鈍さや、守備範囲の狭さ、さらには守備のリーダーとしてのコーチングにも問題を抱え代表クラスの守備陣をまとめきれていない事が最近のクラブでの大量失点の一因であろう。また特に致命的なのがリフレクトしたボールに対して反応すらできない予測の甘さと瞬発力の鈍さがあげられる。だが今更彼をバッシングする事は愚かな行為だ。ブランコの不公平な優遇により彼が最も多くの経験と守備陣との連携を築いているのは事実で、彼をサポートする以外に手は無いのだから。
せめてもの願いはミルザ"POOR"がクロアチア戦、ボスニア戦でその汚名を返上してからドイツへ赴いてくれる事だろう。