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テーマ:サッカーあれこれ(19851)
カテゴリ:イラン代表
ワールドカップ最終メンバー決定まで残り一週間、イラン代表は予定通りスイスでのキャンプを開始した。しかし代表候補25名のうちアジアチャンピオンズリーグを控えたサバ・バッテリー組(ダエイ、ゴルモハンマディ、バフティアリザデ)とハズフィ杯決勝を控えたピルーズィ組(カゼミアン、マダンチ)さらに怪我で鮮烈を離れたヴァへディ、ナヴィドキアの7名を欠くという事態を余儀なくされている。確かに裕福とは言えないクラブの台所事情を考えるとACLやカップ戦で得る収入はクラブにとって貴重な財政源であり、主力を手放したくないクラブの事情も頷ける。しかし、それがW杯での成功で得る収入と比べた場合比較にならないのは確かではなかろうか。たとえばACLで活躍した選手とW杯で活躍した選手のどちらが欧州のスカウトマンの目を引くかは明らかであり、さらにスイスキャンプにもオーストリアのザルツブルクやスイスのFCバーゼルを始めとしたクラブのスカウトマンが視察に訪れるという噂もあるのだ。だがせめてもの救いは国内に残っている代表の主力が好調を維持しているという事だろう。 AFC第5戦、サバ・バッテリーがカタールのアル・ガラファを迎えた一戦では55分に先制されるも77分にはダエイが左足で同点弾を、さらに82分イランのモハンマド"ベッカム"ナヴァジのFKから豪快なヘッドを叩き込みキング健在をアピールするとロスタイムにはリプレーのようなゴルモハマディのダメ押しとなるヘッドが決まるなど代表のベテランコンビが輝きを放った。さらには前節のアル・ワハダ戦においてはバフティアリザデがゴールを叩き込んでおり代表生き残りに向け強烈なアピールを忘れていない。 試合動画はこちら。 そしてハズフィ杯準決勝、1部リーグのNojanとピルーズィとの一戦は2-2の同点のままPKまでもつれ込む激戦となった。格下相手に2点のビハインドを背負ったピルーズィだったがゴール前でカメルーン人MFアランクがボールをコントロールすると前線に張るカゼミアンにロングフィードを通す。その瞬間左サイドからトップギアにシフトチェンジした11番が自軍から猛然と駆け上がるとカゼミアンの落としから豪快なパワードライブを叩きこむ。またもやメヘルザド・マダンチだ。その後のPKも叩き込んだ21歳のレフティーは3試合で7ゴールという脅威の活躍でチームを決勝に導く原動力となった。アリ・ハーン体制となってから本来の左ウイングではなくトップ下やカゼミアンとの2トップの一角で起用され、リーグでは1得点であったマダンチは従来のスピード、正確なクロスに加え、明らかに得点力に磨きをかけている。もし右からブンデスリーガでも屈指の攻撃力を誇るマハダヴィキアと、スピードスターのカービィが仕掛け、左からはこの絶好調のレフティーが仕掛けるとなれば、イランの攻撃はさらなる魅力を増しメキシコやポルトガルの守備陣すら脅威に晒す事だろう。彼らピルーズィ組は一日遅れてスイスキャンプに合流する予定だ。 マダンチ 一点目 二点目 【スイスキャンプ日程】 Tuesday, May 9 : Iran vs. SV Lyss (7:30PM) Friday, May 12 : Iran vs. FC Spiez (7:00PM) Monday, May 15 : Iran vs. FC Münsingen (7:30PM) 一方、シーズンも佳境を迎える欧州組の近況だが残念ながらレザイーが所属するメッシーナは降格が決定。これでペルージャに続く2度目の降格を鉄の男は味わう事となった。またフェリドーン・ザンディの所属するカイザースも最終節に残留を賭けた試合を控えているが、彼自身の退団は決定的。この2年間赤い悪魔で10番を背負ったザンディは怪我もあったが失意の時を過ごしてしまった。イラン代表入りという大きな選択をしたが更なる選択をできなかったとしても26歳の若者を責める事は誰にもできない。ただ彼に出来ることはドイツで再び自らの価値を証明する事だろう。以前興味を示していた恩師クルト・ヤラ率いるザルツブルクはウィンターブレイクにアルプスのマラドーナの正当な後継者であるアンドレアス・イファンシュイッツをラピッド・ウィーンから獲得したが、トップ下が本職のザンディとの共存は不可能では無い筈だ。また最後まで優勝争いを演じたHSVのマハダヴィキアはシーズン序盤こそ不遇の時を過ごしたが右サイドバックに定着してからは最高のパフォーマンスを維持し、逆にシーズン後半に怪我で戦列を離れたハノーファーのハシェミアンは未だ復帰の目途が立っていない。同様にシーズン後半を負傷で棒に振ったキャリミのドイツでの最初のシーズンも、満足とは言えないものの優勝の一角を担ったとは言えるだろう。これでバイエルンにイラン人が所属したシーズンは全てマイスターシャーレを獲得した事になる。 またUAEに在籍するネコーナムとモバリについてだが、前者はパスからアル・ワハダ、そしてアル・シャジルと短期間で環境を変え、それが影響してかキャプテンとして臨んだ西アジア大会も本来のパフォーマンスからは程遠い感があった。だがそれよりも気がかりなのは守備的ボランチとしては疑問符のつく彼のサポートをする潰し屋であるアラヴィと、バランサータイプのカヴィアンプールが事実上の落選を喫した事だろう。もしブランコがここにゴルモハマディやバフティアリザデ、もしくはテイモリアンを充てるつもりなら、イランの守備は間違いなくここから破綻することになる。ただでさえスピードに弱く脆弱な4バックの前で、時にSWの位置に下がって守備をする、もしくはその前で相手の司令塔を破壊するボランチが不在となれば、目を覆うような惨状になるのは必至だ。果たしてブランコはハシェミアンの負傷でワントップ2ボランチのシステムに戻す事が可能な現状でネコーナムの横に誰を据えるつもりだろうか。また国民の多くが復帰を希望するイマン・モバリは待機リストにこそ名を連ねたがダエイとの確執もありドイツ行きは極めて厳しいだろう。彼自身素晴らしいタレントではあるものの、フル代表においてアジア杯、QPR戦などFK以外にブランコに何一つアピールできていないのが現実だからだ。 ドイツ行きのメンバーが決定するまで残り1週間、何が起こるか分からないが最後までしのぎを削り、誰が選ばれようがチーム・メッリがドイツでサプライズを起こす事を祈りたい。イランのグループリーグ敗退を明言するメディアを目の当たりにすると反吐が出る。今まで味わった屈辱を晴らす為にも素晴らしい結果を期待したい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006.05.09 19:23:16
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