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テーマ:サッカーあれこれ(19843)
カテゴリ:イラン代表
チーム・メッリが喫した敗北は多くのファンを悲しませた。それは2002年日韓W杯最終予選でのアイルランドとのプレーオフで味わった悲壮感に似たものがあった。
だが辛い時にこそチームを支え、声援を送るべきである。 そして敗戦を振り返る事は辛いが、この経験を生かせば勝利よりも得るものが多い。 そこでじっくりと現在のTMの問題点を考察したい。 まずメキシコで最も輝いていた選手は誰だろうか。明らかにマルケスだ。素晴らしいリーダーシップ、確かな守備能力、溢れんばかりの知性、豊富な経験と的確な判断。それらは最終ラインからメキシコイレブンに安堵と安定をもたらしていた。 一方イランの問題は何だ。動けないダエイ、怪我を引きずった海外組、臆病なクロアチア人監督、脆弱な守備ラインと数え上げたらキリがない。しかし、私が最も問題視しているのはあるものの欠如である。 何度も言うが強豪相手に戦う上で、ある程度守備に重きを置くことは当然の事である。その点でネコーナムの横にテイモリアンを据えたのは正解だろう。もしザンディがベストの状態でワンボランチで挑んでいたら3失点ではすまなかったはずだ。 97年ジョホールバルでの戦いで最も印象に残ったイラン人は誰だ。多くの人がアベドザデの名を挙げるに違いない。ずる賢く、強烈なリーダーシップがあり、最終ラインからイレブンを鬼の表情で叱咤した偉大なGK。さらにその前に鎮座するのは守備の建て直しに急遽呼び戻された大ベテランのモハマド・ハニ、クールでソリッドなパシャザデ、豊富な経験と冷静さを併せ持つハクプール、エステグラルの英雄ザリンチェ、旺盛なファイティングスピリットを秘めたミナヴァンド、経験豊富でずる賢く勝利のためには全ての罪を犯す事を厭わないエスティリ、そして謙虚なスーパースターであるカリム・バゲリ・・・ 彼らにあって今のTMの守備陣に存在しないもの・・・それは賢者の存在である。 ミルザプールがメキシコ戦で守備ラインを叱咤し、大声で指示を出した事があっただろうか。ゴルモハマディはベテランでありながら冷静さを欠き守備を放棄し、幾度と無く失点の原因となり中国では信じられないようなPKを披露し、予選では見事な自殺点を決めた。レザイーはイタリアでプレーしている、しかしそれだけの事だ。2002年の予選敗退のきっかけとなり、仲間と殴りあった。ノスラティは素晴らしい才能であるが己の気持ちをコントロールできず失態を繰り返し、国民の批判の的となった。そしてカービィはイランの誇る才気には違いないが、守備者としてはあまりに未熟だ。そしてネコーナムは1ボランチであっても守備を放棄しゴール前にあつかましい顔を出す。誰が彼をバゲリの再来と呼んだのだ。 今のイランの守備陣には知性を感じさせる選手が居ない。それこそがこのチームの弱点である。そして、この事こそが最も私がブランコのつくったチーム・メッリに批判的な要因に他ならない。 あれほどいた賢者たちは何処へ行ってしまったのだろう。 謙虚で尊敬されるリーダーであるバゲリの復帰を多くの人間が望んだのも当然の流れであった。今季最終ラインで彼が見せたパフォーマンスは素晴らしかったからだ。どうして28歳のバゲリが「若手にチャンスを与えたい」と代表を去り、37歳のダエイが「まだまだやれる」とピッチに立ち続けるのだろう。しかし、ブランコはその国民の声に耳を貸さなかった。さらに海外経験豊富なパシャザデも一度も試す事無く、ジャラル・ホセイニやシェイス・レザイーといった若き知性も呼ばなかった。 それでもポルトガル戦で勝利を挙げること以外に道はない。我々はそれを全力でサポートする。戦いは終わっていない。残り2試合、国民のために、ファンのために全力を尽くしてもらいたい。勇敢な勝利を心から祈っている。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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