新規開拓はやめてしまえ
売上向上実践会大宮と仙台で営業専科~広告専科まで人間心理にもとづいた講座をおこなっている。前回は、事業の不振原因はたったの6項目をテーマにお届けしました。その6項目とは、簡素化すると・・・・1・新規顧客の開拓を計画的におこなっていない2・既存顧客への販売金額を計画的に増やしていない3・既存顧客の購入回数を計画的に増やしていない4・社員一人当たり必要売上高・社員一人当たり必要粗利率目標と達成期限がない5・競合他社とまったく同じことしかしていない6・三年先まで予算化可能な売れる営業の仕組みがないということだった。 このように書くと実に当たり前のことだ。しかし、どこから着手するにしても「さて、どのようにやったら良いのだろうか?」となる。そこで今回は、各企業内で今すぐ手がつけられるところを深掘りしてみよう。 起業して一年以上たっている会社であれば、この作戦は今すぐ使えてとても有効な作戦だ。さらに新規開拓に要する営業経費と時間が不要なのだから魅力的だ。つまり、だれでも持っている既存顧客という宝の山に気づくことなのだ。 世界の儲からない会社は、バタバタと忙しい傾向にある。社長以下、社員が血眼になって新規!ホットな見込み客はいないか?と熱中している。新規客と聞くと経費も時間も惜しみなくかけて、どんなに遠くても出かけていく。成果が無くてもとえりあえず行くのだから戦略がない。 往々にして戦略と売れる戦術がないために、社員に精神的な負担がかかり社員の定着率は悪い。新規客を得るための25の実践方法などが具体的に提示されないので所属する社員の質も一向に向上しない。すでに出口のない悪循環に陥っているのだ。だが、既存顧客という宝の山が足元にあることに気付けさえすれば、とりあえずすぐに不振は脱却できる。 資金的に潤えば、そのあいだに会社と社員の質の向上策を取り入れ、改めて人づくりと事業の基礎作りも可能になることだろう。■新規開拓今すぐやめて誰が本当の客かを今すぐ見極める戦術(情報漏えい防止のため紙ベースでおこなうこと)作業その1顧客を売上高の高い順に並べて壁に貼りだす。当社に売上をもたらしているのは一体誰なのかを明確に知る作業。作業その2全顧客数を10分割し、作業1で割り出した顧客をその10グループに売上高順位順に割り振る。完了したら壁に貼りだす。作業その3作業2でグループ化した顧客のグループごとの売上高集計を書き出す。作業その41~10グループ内で、それぞれの一人当たり売上高&粗利を出して壁に貼り付ける。作業その5売上全体に対する各グループの占有率を書き出す。 ここまでの作業は、誰か一人に任せてまとめるのではなく、全社員一人ひとりが実際に顧客データと電卓ではじき出すことが肝心だ。時間がないなら全員休日勤務で作成する覚悟が必要でもある。「私は総務だから売上には関係がない」などという社風を作ってはいけない。顧客があるからこそ給料が出るというものだ。 さらに踏み込んで、どのお客様が最も大切にするべき客であるかを全社員が頭に叩き込む必要がある。会社の売り上げに貢献してくれている個人や法人の名前と数字と順位を記憶して日々感謝の意識をあらわすのだ。この顧客管理の奥伝は、次のことにつきる。■会社にもたらす利益額に応じてお客様を差別化し、不平等の平等法則を貫く。つまり客を平等に扱わないことが平等であるという当たり前のことを明確にすることにある。これによってもたらされる最大のものは、発想の転換による収益性の大幅アップである。売上向上実践会