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一日一読/象徴的貧困への挑戦

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2007.02.23
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 著者はフランス現代思想が専門だが、近年この方面の著作が多い。なぜ学ばない子供たちが出現したのか、なぜ働かない若者たちが増えたのか。かしましいまでの類書が出ているが、そのメカニズムを著者は、社会の価値を全て等価交換という経済性の観点だけで考えるようになった近年の日本の浅薄な経済合理主義に求める。「これを学ぶと何の役に立つのですか?」と質問する子供たちに絶句してしまう「おとな」の側にこそ問題点を嗅ぎ取る。役に立たないと即断した瞬間、学びはなくなる。しかし日本ではこの現象を自己決定・自己責任論で肯定してしまった。役に立つかどうかは学んでみないと解からないわけだから、学びを止めるという自己決定した子供は、「未来」の自分と取引したことになる。そして彼は下流社会に自己の意思で落ちる。納得ずくで、喜々として・・・。
 いま日本で起きている現象は、西欧的な意味での自己決定・自己責任論とは似て非なるものである。早くそのことに気づいて手立てを講ずるべきなのに、多くの人は流れに身を任せるだけである。どうすればいいのか?
 著者はフランス現代思想とともに武道の愛好家でもある。合気道を始めた若かりし頃、どういう動機で合気道を始めたかを師匠から尋ねられた。「けんかに強くなるため」と答えたそうだ。その時師匠は破顔一笑し、「そういう動機から始めても構わない」と言った。このとき筆者は「この人こそ本物の師だ」と思ったそうである。つまり、師匠は「武道修行の目的は、君の目的としているものとは違う。君が私に就いて学ぼうと思っているものとは違うものを君は私から学ぶだろう」と宣言したにもかかわらず、著者はこの人を師としようと決意したわけだから非合理的判断である。ここには、経済合理性の自己決定はない。
 著者は早目に大学をリタイアした後は、江戸時代のような「町の道場」を作りたいという。武道で身を立てたいという者がいれば何とか自立できるように世話をやいてやる。家に居づらいという子供がいれば道場にとめてご飯を食べさせ、その代わり掃除や家事手伝いをさせて書生として使う。勉強したいという子供がいれば一緒に原書講読する。哲学も文学も教える。週末には仲間を集めて麻雀をやる。そういう開かれた「アジール」のような、寺子屋のような、コミュニテイの拠点を作りたいという。
 うう~ん。これはラグビーのくるみクラブの発想である。「クラブ」とは極めて近代西欧的システムの所産だが、道場型のクラブこそがこれからの日本社会で通用するコミュニテイのモデルケースになるだろう。そういうことを考えながら本書を一読していたら、ワクワクして来た。

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最終更新日  2007.02.23 09:07:44
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