ミッドランド　こんのふみをブログ

気がついたら明日はもう3月。
ラストライブまで1週間になってしまうのだが、
この連載は終わりがまったく見えない感じになってきてしまった。

気長に更新していくモードに早くも切り替えか！？
ふみを君？



　この時に出会った蓼科バイトメンバーは仲が本当に良かった。それもこれも三輪幸平というリーダーシップを発揮する男がいたからだ。ふみをも最初はいけ好かない男だと思っていたけれど、飲み会など大勢バイトが集まる時には率先して取り仕切り、女子からはみんなの良きお兄さんとして憧れられたりしている姿を見て、見る目も変わってきた。
　それに比べふみをは昨年よりは根暗度はだいぶ下がって嫌われることは少なくなったものの、ポジションはやはり少し変わった人であった。その多少変という位置がまた妙に居心地が良くて自らそのポジションに居座るようにもなった。
　自分で解説するのもなんだが、飲み会の席で場の雰囲気を悪くするようなケンカ腰な態度は当たり前。気に食わない女子にはとことん正攻法の言葉攻めして泣かす！！そんな尖り方だった。確かにあの時のふみをは自分を表現するのが下手だった。女子と軽快なトークが出来る三輪幸平に多少の憧れみたいなものもあっただろう。そうなれば余計にあまのじゃくは発揮されるというものなのだ。

　それはそれとして、この夏の蓼科仙境都市は楽しいイベントを誰かが考え実行し盛り上がった。まず流行ったのが肝試し。誰も住んでない元従業員宿舎という気味悪い建物があり、そこで過去に自殺者が出た、という噂がアルバイト全員に轟いていた。男女ペアになって交互に自殺者が出たという2階の一番奥の部屋まで行き、空き缶などを置く、または取ってくる。とんねるずの番組の影響をモロに受けてなぜか男子が女子に手を差し伸べ、｢お願いします！！｣という余興をしてから一組ずつ出発をしていった。
　この時に面白かったのが断然三輪幸平であった。男が余った時には必ず女子役になって盛り上げる。おかまちゃん言葉で男子に、｢よろしくお願いしまっす！！｣とか言うんだよ。これが大ウケ。そしてこれが逆に女子好感度上がるのだ。知って知らずか率先してやっていたのを思い出す。でも実際の肝試しになると、物音が少ししただけでペアの女子を置き去りにして逃げ帰ってしまい、結局好感度を下げる、というオチがつく。
　ちなみに霊やお化け役を買って出るのは、当たり前なのだがふみをである。最初に肝試しをしておいて、帰ってきたらもう女子は放って置いて、密かに外にある非常階段を使って自殺者部屋に引き返す。その部屋の押し入れに隠れ、ノコノコとやってきたペアを脅かすのだ。あれは楽しかった！！10組中10組、間違いなく驚いてくれる。そして前のペアが叫び声を上げているの聞いて、次のペアが余計に驚いてくれる、という相乗効果は計り知れないのだ。

　また蓼科仙境都市は朝の雲海が抜群にきれいであった。不老苑のメンバーは夜型なので朝まで飲んで朝日の出る時間に外に出て、日の出と雲海を毎日のように眺めていた。青春だ。そして夢なんか語るんだよ。あの雲海は本当に素晴らしかった。

　それで、三輪幸平のリーダーシップが特に発揮されたのはみんな蓼科から下山してからのことだった。当時はケータイなんてもちろんなくて、今では考えられないけれど卒業名簿のように電話番号と住所を全員分記録し本みたいにして、山を下りる時に一人一人に配っていた。おおらかな時代であった。携帯電話なんてなければこの時代は今も続いていたと思うが。
　その名簿を利用して関東勢、関西勢それぞれに分かれて下山後にみんなで遊んでいた。新宿や渋谷に総勢3～40人で待ち合わせしての飲み会が当たり前のように毎週開催されていたのだ。たかが数週間のバイトの集まりなのにだ。何だか知らないがえらい勢いがあり、その絶頂が総勢30人での一泊二日箱根旅行であった。車持ちを総動員して連なって箱根へ。あんなにみんなで遊んでいたらバイト代全部使ってしまったんではないか？ぐらいの勢いだった。

　そんな異常な日々は長い大学生の夏休みが終わる9月下旬にはさすがに下火になっていったけれど、初代ミッドランドはスタジオに入る為に着々と準備をしていた。演奏曲はもちろんコピーであった。イーグルスの"Hotel California"にブライアン・アダムスの"Run To You"に"Somebody"と、当時でもとっくに時代遅れな3曲に決めて練習に励んだ。
　特に"Hotel California"はツインギターを生かしてバッキングに最後のギターソロにとハモリまくって演奏はカッコよかった。しかしボーカルはというと、ふみをはまったく渋い声系ではないので選曲的には正直厳しかった。まだドン・ヘンリーは少しはまともだったのだが、ブライアン・アダムスはまったくもっていただけなかった。ふみをの長いバンド歴の中で数少ない(？)汚点の一つだ。ブライアンのボーカルは難しい！！ハスキーでキーが高いなんて反則なんだよ。

　結局のところ、初代ミッドランドは2回スタジオに入っただけで活動は止まってしまうのだが、これがミッドランドの始まりであった。