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カテゴリ:合作映画
おまえは泥棒の息子だから、と
アルセーヌは幼い時から経験させられていた。 密かに気配を窺いながら、 望むものを盗み出す、魅惑のスリル。 だが、父テオフラスト・ルパンは、 息子の盗んだマリーアントワネットの首飾りとともに、 妻アンリエットとアルセーヌを残し逃亡する。 しかしその後、テオフラストは、 顔を潰された惨殺死体として発見された。 モーリス・ルブラン原作のルパンを、 3つのエピソードをつなげて構成した大作。 ルパンを演じるのはロマン・デュリス、 紳士を装う微笑みと屈折した心理を使い分け、 スピードよりは優雅なアクションを見せる。 ジャン=ポール・サロメ監督作品。 華麗な舞踏会は煌びやかで眩い。 複雑に思えて単純な謎解き、 シンプルでいて錯綜する人間関係、 エンタメでありながら曖昧なニュアンスを醸す。 これがフランスかと、思わせてくれる。 父が教えてくれた盗みのスリルは、 アルセーヌに確実に刻印されていた。 煌びやかな舞踏会、 ご婦人方の胸に髪に、輝く宝石、 アルセーヌはにこやかに微笑みながら近づき、 スルリと全て奪いとっていく。 従妹クラリスが彼を愛し 盗みを辞めさせることを願うが、 折しもアルセーヌはある秘密を知ってしまった。 王家の財宝の在処を示す十字架が存在する。 それを狙うのはクラリスの父が属する オルレアン公爵を王座にすえようとする一味と、 永遠の若さと不死を持つと言われる、 ジョセフィーヌ・カリオストロ伯爵夫人だった。 父親が調合した秘薬を飲み 100歳を越えてもなお美貌を保つ夫人に、 アルセーヌは恋をし、十字架探しを手伝うことに。 魔の力を持つ女性とのむせかえるような愛、 それもまた彼の望むスリル。 だが公爵一味のボーマニャンは、 彼女こそ、父テオフラストを殺した犯人だと言う。 父とつながるジョセフィーヌとボーマニャン。 十字架争奪戦と謎解き、 そして明らかになる様々な秘密。 しかし翻弄されながらもアルセーヌは、 自分の立場を明確にしていた。 盗みはする、だが、誰も殺さない。 残虐な死が、常に彼の回りにはあった。 それでも彼は、敵対する者たちにさえ躊躇を見せる。 愛する者も父もまた彼に仇なす。 奇厳城。 海にそそりたつ切り立った岩の城。 そこでアルセーヌは父と死闘を演じることに。 アルセーヌ・ルパン、 泥棒の息子はその名を捨てようとするが、 やはり辞められないのである、まさに天職のように。 だが、ジョセフィーヌとの確執は、 彼からすべてのものを奪い去っていく。 愛しい妻と、まだ赤ん坊の息子を。 ベル・エポックのフランスのジュエリーは、 カルティエによって再現されたという。 舞踏会を回る紳士淑女の胸に煌びやかに輝く宝石。 まるでその宝石のように、 さまざまなエピソードが盛り込まれている。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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